著者
佐藤 尚親 井内 浩幸 竹田 芳彦
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.82, pp.57-66, 2002-03
被引用文献数
2

ペレニアルライグラス「ポコロ」は「ヤツガネ」、「フレンド」、「Tetraploid Haytype」および「Agresso」に由来する5栄養系からなる合成品種で、1972年から1998年にかけて、北海道立天北農業試験場で育成された。1995年から1998年にかけて、主に「フレンド」を標準品種として用いて各種試験を実施し、1999年2月にペレニアルライグラス北海道合第1号として北海道優良品種に登録され、2000年2月に品種登録の出願が受理された。「ポコロ」は4倍体の晩生品種で、出穂始日は中生の「ファントム」より2から3日遅く、晩生の「フレンド」より4から5日早い。「フレンド」に比べ、茎葉収量は勝り、永続性および越冬性はやや勝る。早春の生育が良好で、「フレンド」より早い入牧開始により、放牧期間延長に貢献することが期待される。また、シロクローバとの混播適性に優れる。「ポコロ」の栽培適地は北海道北部、中央部および南部で、利用目的は放牧利用とするが1番草は採草できる。
著者
田瀬 和浩 佐藤 尚親 田村 健一 眞田 康治 小松 敏憲
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.249-256, 2008-10-15
被引用文献数
1

海外で育成されたフェストロリウム13品種の越冬性を,多雪・非土壌凍結の北農研と寡雪・上壌凍結の根釧農試で2か年評価したところ,「Prior」はメドウフェスクの「ハルサカエ」と同程度に,「Felina」はペレニアルライグラスの「ポコロ」と同程度に越冬性に優れた。それ以外の品種は「ポコロ」よりも越冬性が劣った。また越冬性に関与する耐凍性と雪腐病抵抗性について自然および人為環境条件下で評価したところ,「Prior」は耐凍性よりも雪腐病抵抗性に優れ,逆に「Felina」は雪腐病抵抗性よりも耐凍性に優れることが明らかになった。既存フェストロリウム品種の中にメドウフェスクと同程度に越冬性あるいは耐凍性に優れる品種が認められたことから,冬期気象条件の厳しい道東でも利用可能なフェストロリウム品種の育成は可能と考えられる。