著者
藤田 正平 島田 尚典 青山 聡
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.88, pp.13-24, 2005-05

「きたほたる」は、良質、多収、耐冷、アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性の白アズキ品種の育成を目標とし、1993年に北海道立十勝農業試験場(農林水産省小豆育種指定試験地)において、草型の優れる「93142(F6)」を母、アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性の良質系統「十系590号」を父として人工交配した雑種後代から育成された。2004年に北海道の優良品種に採用されるとともに、農林水産省の新品種として認定され、「きたほたる」と命名登録された。「きたほたる」は、「ホッカイシロショウズ」より餡色が白く明るい色調で、加工適性が優る。また成熟期が同品種並みからやや早く、アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病に抵抗性を持つ。「きたほたる」を「ホッカイシロショウズ」に置き換え、 l00ha程度の白小豆栽培面積を確保することにより、良質の白アズキを本州産より低価格で安定的に供給することが可能となり、新たなユーザーを獲得して、安定した需要が確保できると考えられる。
著者
井上 哲也 村松 裕司 稲川 裕
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.92, pp.41-49, 2008-10

オウトウ「ジューンブライト」は、北海道立道南農業試験場が大玉で食味の良い「南陽」の自然交雑種子を1987年に採取し、獲得した実生の中から選抜された品種である。北海道立中央農業試験場が「HC1」の系統番号で各種試験を実施した結果、2005年に北海道の優良品種として認定され、2007年に種苗登録された。収穫期は「佐藤錦」より早く、早生品種としては果実が大きい。耐寒性が「北光」並みに強く、道内で栽培されている主要品種と交雑和合性がある。普及対象地域は全道のオウトウ栽培地域である。
著者
小宮山 誠一 加藤 淳
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.86, pp.65-72, 2004-05

白あんのねばりは加工適性上重要な項目であり、各用途によって求められるねばりは異なる。そこで、各用途に適合する高品質な菜豆類の品種育成に資するため、少量の原料(原料豆150g)で適用可能なねばり評価手法を明らかにした。ねばり評価用の加糖あんは、生あんを遠心分離機を用いて水分調整した後、同量の水と生あんの0.6倍重の上白糖を加え、生あんの1.6倍重まで練り上げて調整した。物性測定装置による圧縮・引き上げ試験の「付着性」測定により、加糖あんのねばりを適性に評価することができた。手亡類の加糖あんの付着性は「銀手亡」で最も大きく、「姫手亡」、「雪手亡」はほぼ同等であった。
著者
八谷 和彦
出版者
北海道立農業試験場
巻号頁・発行日
no.51, pp.73-81, 1984 (Released:2011-03-05)
著者
佐藤 尚親 井内 浩幸 竹田 芳彦
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.82, pp.57-66, 2002-03
被引用文献数
2

ペレニアルライグラス「ポコロ」は「ヤツガネ」、「フレンド」、「Tetraploid Haytype」および「Agresso」に由来する5栄養系からなる合成品種で、1972年から1998年にかけて、北海道立天北農業試験場で育成された。1995年から1998年にかけて、主に「フレンド」を標準品種として用いて各種試験を実施し、1999年2月にペレニアルライグラス北海道合第1号として北海道優良品種に登録され、2000年2月に品種登録の出願が受理された。「ポコロ」は4倍体の晩生品種で、出穂始日は中生の「ファントム」より2から3日遅く、晩生の「フレンド」より4から5日早い。「フレンド」に比べ、茎葉収量は勝り、永続性および越冬性はやや勝る。早春の生育が良好で、「フレンド」より早い入牧開始により、放牧期間延長に貢献することが期待される。また、シロクローバとの混播適性に優れる。「ポコロ」の栽培適地は北海道北部、中央部および南部で、利用目的は放牧利用とするが1番草は採草できる。
著者
奥山 昌隆 江部 成彦 佐藤 仁
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.92, pp.13-27, 2008-10

「絹てぼう」は、炭そ病抵抗性で、加工適性に優れた良質の手亡類品種の育成を目標とし、1995年に北海道立十勝農業試験場において、大粒良質多収で炭そ病抵抗性の「十系A216号」を母、良質で炭そ病抵抗性の「十系A212号」を父として人工交配し、以後選抜、固定を図ったものである。2000年から「十系A283号」の系統名で各種試験を実施するとともに、加工適性試験は(株)御座候が共同研究「粒あん加工適性に優れる手亡の新品種育成」において担当した。加工適性及び外観品質に優れていたことから、2001年から「十育A56号」の系統名で各種試験を実施し、2004年に北海道の優良品種に認定された。本品種は、「姫手亡」より未吸水粒の発生が少なく、粒あん加工適性に優れる。あん色が「姫手亡」より白く、あんはねばりが強く、滑らかな食感である。子実の大きさは「姫手亡」より大きく、北海道で確認されているインゲン炭そ病のrace7、race38及びrace81のすべてに対し抵抗性を有する。収量性は「姫手亡」にやや劣り、極端な低温条件下では低収となる。栽培適地は、北海道のインゲンマメ作付け地帯のうち道東の特に冷涼な地帯を除く地帯で、「姫手亡」の一部に置き換えて普及を図ることにより、道産手亡の需要維持と新たな需要開拓に寄与できる。
著者
木下 雅文 沼尾 吉則 木内 均
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.90, pp.1-11[含 英語文要旨], 2006-10

水稲新品種「大地の星」は、1994年に北海道立上川農業試験場(農林水産省水稲育種指定試験地)で交配した「空育151号」と「上育418号(ほしのゆめ)」との雑種後代から育成され、2003年2月、北海道の奨励品種に認定された(系統名:上育438号)。同年、農林水産省に「水稲農林391号」として登録され、「大地の星」と命名された。出穂期は「あきほ」、「きらら397」より早い"早生の中"であるが、成熟期は「あきほ」よりやや遅く「きらら397」に近い"中生の早"である。稈長は「あきほ」、「きらら397」よりやや長く、穂長は「あきほ」より短く「きらら397」並である。穂数は「あきほ」、「きらら397」より少なく、草型は"偏穂数型"である。穂ばらみ期の障害型耐冷性は"極強"である。いもち病の圃場抵抗性は、葉いもちが"強"、穂いもちは "やや強"でいずれも「あきほ」、「きらら397」に優る。耐倒伏性は「きらら397」並である。玄米収量は「きらら397」に優り多収である。玄米品質は「あきほ」、「きらら397」に劣る。炊飯時の米飯表面の粘りや付着性が少なく、冷凍後のダマ化率が低く、適度な食味を有しているため、ピラフ等の冷凍米飯への加工に適している。以上の特性から、本品種を「あきほ」の一部に置き換えて作付けすることにより、加工適性が高く栽培特性に優れた品種として北海道米の安定生産、販路拡大に寄与すると考えられる。
著者
山田 英一
出版者
北海道立農業試験場
巻号頁・発行日
no.61, pp.1-98, 1987 (Released:2011-03-05)
著者
奥村 理 加藤 淳
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.85, pp.17-20, 2003-07

ドライケミストリー法による分析装置と組み合わせた小麦原粒に対応可能なα-アミラーゼ活性測定システムを開発するために、農業現場で活用しやすい簡易迅速な小麦α-アミラーゼ抽出方法について検討した。小麦α-アミラーゼの抽出は、麦専用ホモジナイザーを用いて、ジェネレーターと容器の位置関係を偏心2.0cm、クリアランス4.0cmとして、ホモジナイザーの運転条件を回転数8000rpm、破砕時間120秒とすることが適当であると判断した。本抽出方法とα-アミラーゼ活性測定装置を用いた場合、1点あたりの分析時間がおよそ12分、また連続操作することにより1時間あたり約25点(前処理装置2台稼働で35点)の分析が可能であった。
著者
杉山 裕
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.85, pp.37-40, 2003-07 (Released:2011-03-05)

近年育成されたカボチャの新品種について露地早熟移植栽培における特性を調査した。果形、果皮色及び肥大性に特徴のある品種が見られたが、収量性は、現在の北海道の主要品種である「えびす」に比べて低い品種が多かった。収量性と深い関係があると思われる雌花着生及び着果について検討したところ、着果率と総収量の間に有意な関係が認められた。また、カボチャの果実品質について検討したところ、粉質感の指標である乾物率は、多くの品種で「えびす」に比べて高かった。