著者
眞田 康治 田村 健一 山田 敏彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.80-85, 2011-07-15

秋季生長に優れる寒地向きオーチャードグラス品種を育成するために,越冬性の異なる4品種を用いて,秋季の休眠性と耐凍性の変化に及ぼす日長の影響を明らかにした。秋季の生長量は,「アキミドリ」が多く「北海28号」が少なかった。低温・24時日長条件下における耐凍性の増大と休眠の深まりは,「北海28号」は低温・自然短日々長下より約2週遅れたが,「アキミドリ」は11月17日までは日長間の差異が小さかった。「北海28号」の秋季休眠と低温馴化は短日に反応して促進されるが,「アキミドリ」は11月上旬までは日長感応性が低いことが明らかとなった。寒地向き品種の秋季生長改良のためには,生育停止までの生長を増やし,11月上旬までの日長感応性を低めて,それ以降速やかに耐凍性を高めるように育種する必要があることが示された。
著者
田瀬 和浩 佐藤 尚親 田村 健一 眞田 康治 小松 敏憲
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.249-256, 2008-10-15
被引用文献数
1

海外で育成されたフェストロリウム13品種の越冬性を,多雪・非土壌凍結の北農研と寡雪・上壌凍結の根釧農試で2か年評価したところ,「Prior」はメドウフェスクの「ハルサカエ」と同程度に,「Felina」はペレニアルライグラスの「ポコロ」と同程度に越冬性に優れた。それ以外の品種は「ポコロ」よりも越冬性が劣った。また越冬性に関与する耐凍性と雪腐病抵抗性について自然および人為環境条件下で評価したところ,「Prior」は耐凍性よりも雪腐病抵抗性に優れ,逆に「Felina」は雪腐病抵抗性よりも耐凍性に優れることが明らかになった。既存フェストロリウム品種の中にメドウフェスクと同程度に越冬性あるいは耐凍性に優れる品種が認められたことから,冬期気象条件の厳しい道東でも利用可能なフェストロリウム品種の育成は可能と考えられる。