著者
佐藤 岳史 中原 史晴 青木 智幸 岸田 潔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F1(トンネル工学) (ISSN:21856575)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.17-31, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
25
被引用文献数
2

トンネル掘削時に実施する変位計測は,切羽近傍地山の評価や予測,支保の選定とその妥当性を検証する際に有益な情報を提供する.事前の地質調査に限界のある大土被りトンネルにおいては,内空変位計測データが持つ特性を最大限有効活用することが望ましい.計測データの活用方法の一つに,掘削時の初期変位と最終変位の相関性を把握し,切羽開放後の初期段階で最終変位を予測することがある.本論文では,計測データと実際のトンネル支保の挙動分析を行い,初期変位計測の意義を明らかにするとともに,硬質層状の堆積岩地山での掘削を対象に,最終変位量を施工管理基準値とするための新たな提案を行った.この分析的アプローチを南アルプストンネルの施工に適用することで,その妥当性を実証した.
著者
美馬 達哉 小金丸 聡子 芝田 純也 佐藤 岳史
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1111-1117, 2022-11-18 (Released:2023-01-20)
参考文献数
21

2010年代以降に注目を集めているN-of-1研究について,従来の症例研究との差異,高いエビデンスレベルである理由,臨床研究としての実験計画および論文執筆の際の注意点などについて概説した.個別性の高いケアを重視するリハビリテーション医学の領域において,この研究手法は大きな可能性を有すると考えられる.さらに,近年では,複数のN-of-1研究を標準化してまとめ,集団疫学と同様に扱う手法も提案されている.Patient-centered careやprecision medicineが議論されている現状では,今後も重要性が高まると予測され得る.本稿の最後では,非侵襲的脳刺激法のリハビリテーション応用について,N-of-1研究から切り拓かれる展望についても,筆者らの経験を例として論じる.