著者
佐藤 得志
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
vol.52, pp.85-96, 2018-01-31

Riemann積分の定義の方法には2つの流儀があり,それは,Riemann和から定義するものと,Darbouxの上積分,下積分から定義するものである.この2つの定義の同値性を証明するための鍵となるのがDarbouxの定理であるが,その証明はRiemann積分の理論の中では最も難しいものである.本稿においては,初学者の理解の手助けとなるように,Darbouxの定理の厳密かつ丁寧な証明を与える.また,積分可能な関数とLipschitz連続な関数の合成関数の積分可能性を証明し,これを用いて積分可能な関数の絶対値や積の積分可能性を導く.
著者
佐藤 得志 佐藤 雄介
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.55, pp.105-120, 2021-01-29

現代数学において, 選択公理は必要不可欠な重要な公理である. しかし, これを仮定することにより, 直観的には受け入れ難い数学的な事実が導かれることがある. 本稿においては, その代表的な例として, 3 次元における Banach-Tarski の定理を取り上げる. 特に, 選択公理を用いることによってHausdorffの定理が導かれること, 及び, これを用いて Banach-Tarskiの定理を証明できることについて, その詳細を解説する.