著者
岡田 光弘 佐藤 拓杜 稲田 圭介 谷田部 祐介 伊藤 浩朗 小味 弘典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1425-1434, 2018-07-15

人間の視野における解像度は視野中心で最も高く,周辺部ほど低下する.この視覚特性に基づき,視野周辺の映像の解像度を削減するFoveated Imaging処理(FI処理)と呼ばれる画像処理技術がある.本論文では,フルHD映像を対象に主観的な解像感を維持したまま伝送ビットレートを削減するために,エンコード前の映像にFI処理を適用した映像圧縮伝送システムを構築する.さらに,このシステムの有効性を評価するために,Degradation Category Rating(DCR)法と呼ばれる主観画質の評価手法を用いて,基準映像に対するFI処理を適用した映像の画質劣化を5段階で評価した.その結果,Degradation Mean Opinion Score(DMOS)の平均値が4.25と画質劣化が気にならないレベルの画質を維持しつつ,9.2~44.7%の伝送ビットレートの削減効果を確認できた.