著者
佐藤 正崇 今井 潤一
出版者
一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会
雑誌
ジャフィー・ジャーナル (ISSN:24344702)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.63-88, 2020 (Released:2020-05-16)
参考文献数
27

本研究では,マーク付き多次元Hawkes過程を用いて高頻度注文板内で観測される複数イベントを表現し,それぞれの自己励起性および相互励起性を検証するとともに,イベントにおけるマークの大きさがHawkes過程の強度関数に与えるインパクトの大きさについて分析を行う.具体的には,価格の上昇及び下降を伴う約定に加えて,中心価格の変動を伴うビッド及びアスク注文を4系列のイベントとして定義し,そのときの取引数と注文数をマークとしたマーク付き4次元Hawkes過程を提案している.そしてこのモデルを東証一部上場の複数銘柄に当てはめ,それぞれのパラメータ推定を行う.次に,推定されたパラメータを利用して時系列と銘柄間の比較を行い,各イベントの自己励起性,及びイベント間の相互励起性についての特徴を明らかにする.さらに,マークがHawkes過程の強度関数に与える影響の有無とその大きさについて分析を行う.