著者
根本 直樹 佐藤 正洋
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.183-195, 2013

秋田県北部,二ツ井地域の天徳寺層上部及び笹岡層下部からの有孔虫化石を検討した.検討した区間からのGloborotalia inflata(sensu lato)の豊富な産出は,この区間が上部鮮新統のNo.3 Globorotalia inflata bedに相当することを示唆する.また,その産出は温暖な中層環境を示す.いくつかの層準からのGlobigerina quinquelobaの産出は,本地域の表層が時々低塩水に覆われたことを示唆する.天徳寺層上部産化石底生有孔虫群集の多くは,上部漸深海帯での堆積を示唆する.天徳寺層最上部の堆積の間,本地域は温暖な水塊の影響を受けた.笹岡層下部は,温暖な水塊の影響を受けた外部浅海帯に堆積した.