- 著者
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伊藤 章吾
中村 俊博
麻生 明見
野原 夢
小村 聡一朗
井上 寛子
森 隆宏
竹中 克彦
森 超夫
沼口 宏太郎
佐藤 真司
冷牟田 浩司
- 出版者
- 公益財団法人 日本心臓財団
- 雑誌
- 心臓 (ISSN:05864488)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.7, pp.917-924, 2014 (Released:2015-07-13)
- 参考文献数
- 10
症例は42歳の女性. X年9月, 自宅で急に動悸と眼前暗黒感が出現したため, 近医へ救急搬送された. 搬入時心電図で心拍数 (HR) 210bpmのwide QRS tachycardiaを認め, 電気的除細動で洞調律 (SR) へ復した. 後日再度動悸が出現し, 同院の心電図で同じ頻拍を認めた. このときはATP 40mg静注により頻拍は停止した. 精査加療目的で電気生理検査を行った. 高位右房ペーシングで減衰伝導特性を持つ副伝導路を認めたが, 室房伝導は房室結節のみであった. 心房期外刺激で発作時と同一のwide QRS tachycardiaが誘発された. 頻拍中, His束不応期での心房単発刺激に対して三尖弁輪前壁~側壁でのみ頻拍リセットを示した. また, 頻拍中QRSに先行する右脚電位を認めた. 頻拍はMahaim線維 (atrio-fascicular fiber) を介するantidromic AVRTと診断した. 洞調律時に三尖弁輪前側壁にMahaim電位を認め, 同部位での高周波通電にてMahaim線維の伝導は消失し, 頻拍は誘発不可能となった. 詳細な電気生理学的検討によりMahaim線維の特徴的所見を捕らえ, これによるantidromic AVRTを診断・根治し得たので報告する.