著者
佐藤 穏子
雑誌
奥羽大学歯学誌 (ISSN:09162313)
巻号頁・発行日
vol.36巻, no.4号, pp.129-138, 2009-12

ポリプロピレン製ポイントとしてフレックスポイント(FP)の安全性を調べる目的で、ラットの皮下結合組織への埋入試験、細胞毒性試験、根管充填材からの無機成分溶出試験を行い、ガッタパーチャポイント(GP)と比較検討した。その結果、ラット背部皮下結合組織への埋入試験では、炎症性反応はFPのスコアはGPより有意に低く、7日以降の被包形成においてもFPのスコアは有意に低く、FPはGPより組織への親和性が高いと考えられた。細胞毒性試験ではFPは対照群に比較して有意差が認められず、細胞増殖を阻害する成分がポイントから溶出していないと考えられた。無機質溶出試験ではFPから亜鉛の溶出は認めず、バリウムの溶出は認められたがGPに比較して有意に少なく、ビスマス・鉄・マグネシウムの溶出も非常に微量であり、FPはGPに比較し溶出される無機質の量は少なかった。以上より、FPはGPに比較して、生体に対してより組織親和性のある安全な根管充填材であることが示唆された。