著者
佐藤 節郎
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.145-157, 1995-03-31 (Released:2010-06-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.243-248, 1995-02-10
被引用文献数
3

播種日の違いがイチビの開花と種子生産に及ぼす影響を調査するため,1993年に,熊本県西合志町の九州農業試験場の圃場において試験を行った。試験区は,播種直前に化成肥料でN,P_2O_5,K_2Oをそれぞれ1kg/a施肥し,試験区内に畦を長さ50cm, 畦間50cmで3本設け,4月21日,5月19日,6月21日,7月13日,8月23日,9月16日10月19日および11月23日に,イチビ種子を10cm間隔で播種深度1cmで10粒ずつ播種した。種子は,4月播種区から10月播種区までが出芽し,4月から8月播種区は播種2日または3日後には速やかに出芽した。これらのイチビ実生を播種4週後に15個体/区,さらに播種8週後に9個体/区の密度に間引きし,この15または9個体の開花と種子生産を調査し,播種月ごとに比較した。1)供試個体は,4月播種区から8月播種区までが開花し,播種から開花までに要した日数は,4月播種区で88.0日で最大となった。以後,播種期を遅らせるのに伴い減少し,7月播種区が44.6日で最小となったが,8月播種区ではやや増加した。また,開花開始時の草丈および葉齢は,4月播種区が最大であり,播種区を遅らせるのに伴い減少し,8月播種区で最小となった。このように,イチビの開花は強い短日性を示した。2)供試個体は,4月播種区から7月播種区までが種子を生産した。播種から種子生産開始までに要した日数は,4月播種区が97.0日で最大となり,播種日を遅らせるのに伴い減少し,7月播種区が63.4日で最小となった。種子生産量は,4月播種区が2,214個/個体で,他区に比較して著しく大となり,7月播種区が424個/個体で最小となった。種子100粒重は866mgから993mgの範囲となり,4月および7月播種区では,5月および6月播種区より大であった。3)これらの結果から,九州では,春から初夏にかけて出芽したイチビは,開花の短日性により種子を効率的に生産することが明らかになった。
著者
佐藤 節郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.185-191, 2002-09-30
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次 坂本 邦昭
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.317-327, 1998-12-28
被引用文献数
4

1995年4月3日, 1996年4月28日および同年5月24日にハリビユ種子をそれぞれ, 17.8, 26.7および26.7g/aの量で播種した後, トウモロコシ(品種:Pioneer 3352)を666本/aの密度で播種した。リビングマルチとしてイタリアンライグラス(品種:タチワセ) をトウモロコシと同時に0.3および0.6kg/aの量で播種, または, アトラジン+アラクロールを10.0+10.8 a.i.g/aの量で土壌散布した。播種後5.5-11週に, トウモロコシとハリビユを定期的に刈り取り, リビングマルチ区および除草剤区の両草種の生長およびトウモロコシの窒素吸収の推移を無処理区と比較した。また, トウモロコシ収量と収穫時のハリビユの生長を同様に比較した。4月3日播種トウモロコシでは, リビングマルチは競合によりハリビユを十分に抑制したが(Fig. 1), 同時にトウモロコシとも激しく競合し, トウモロコシの生長は有意に減少し, トウモロコシの葉の窒素含有量も低下した(Fig. 2, Table 2, 3)。4月28日播種トウモロコシでは, リビングマルチは一定のハリビユ抑制効果を示し (Fig. 1), トウモロコシの生長と葉の窒素含有量にもほとんど影響を与えなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。5月24日播種トウモロコシでは, イタリアンライグラスが出芽後の高温により十分に生長しなかったため, リビングマルチはハリビユを抑制できず(Fig. 1), また, トウモロコシの生長や窒素吸収に影響を与えることはなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。いずれの播種日のトウモロコシも, 生育期の純同化量(NAR)は, いずれの調査日においても有意な雑草防除処理間差が認められず, イタリアンライグラスと激しく競合した4月3日播種におけるリビングマルチ区のトウモロコシにおいても, NARの明確な低下は認められなかった(Table 3)。リビングマルチ区トウモロコシの収穫時には, 4月3日播種ではハリビユが全く認められず, 4月28日播種ではハリビユが認められたものの, その密度と重量は無処理区に比べ有意に小さく, 5月24日播種ではハリビユの密度と重量は無処理区とほぼ同等であった(Fig. 4)。トウモロコシ収穫時の無処理区のハリビユの密度と重量は, 4月28日および5月24日播種において4月3日播種よりも小となった(Fig. 4)。リビングマルチ区のトウモロコシ収量は, 無処理区に比べ, 4月3日播種で34-40%, 4月28日播種で11%減少したが, 5月24日播種ではリビングマルチ区と無処理区の間に有意な差は認められなかった(Fig. 5)。アトラジン+アラクロールの土壌処理は, トウモロコシの生長, 生長期の窒素吸収および収量を低下させることなくハリビユを十分抑制できた(Fig. 1-5, Table 2, 3)。イタリアンライグラスリビングマルチは, 若干の減収を前提とすれば, 4月下旬に播種するトウモロコシにおいてハリビユの防除のために利用が可能であり, また, 有機物の連続的な投与により土壌処理剤の効果が不十分な圃場では有効な技術となりうると考えられた。