- 著者
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井出 保行
林 治雄
下田 勝久
坂上 清一
- 出版者
- 日本草地学会
- 雑誌
- 日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.163-169, 1999-07-31
- 被引用文献数
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4
ケンタッキーブルーグラスが優占する放牧草地(草地試験場山地支場)において,ケンタッキーブルーグラスの開花,結実および糞中種子の季節的な動態を調査した。また,菅平牧場では,ケンタッキーブルーグラスの糞中種子による既存群落(ササ型草地)内への侵入実態を調査した。草地試験場山地支場内の調査放牧草地では,ケンタッキーブルーグラスの開花は6月の中旬に始まり,6月下旬にはその大半が結実した。糞中種子は,7月上旬から8月中旬にかけて検出され,7月中句にはその数および発芽率がピークに達した。これらの結果より,牛糞による種子散布が可能な期間は,開花から4週目以降の約1ヶ月間と推察された。菅平牧場における調査牧区では糞塊中にシバ種子が最も多く含まれていたが,糞中種子によってササ型草地内に侵入した植物の中ではケンタッキ-ブルーグラスの平均被度および出現頻度が最も高かった。また,シバを除く侵入植物の被度と糞塊の被度との間には有意な正の相関関係が認められた。これらの結果より,糞中種子による植物の侵入および定着には,糞の分布や糞中種子数だけではなく,侵入後に起こる既存植生や他の侵入草種との競合過程が問題になると考えられた。