- 著者
-
佐藤 香枝
- 出版者
- The Japan Society for Analytical Chemistry
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.1.2, pp.53-58, 2022-01-05 (Released:2022-04-30)
- 参考文献数
- 15
近年,Organ-on-a-chipと呼ばれるmicroTASを利用したヒトの細胞微小環境を反映する三次元の組織モデルの開発が進められている.特に血管は血流にさらされており血管内皮細胞のみの静置培養では,生体内と同等の機能を評価できず,マイクロ血管モデルの開発は重要である.マイクロ血管デバイスは,静置で平面培養した単一種の細胞では実現できない複数種の細胞による組織を模倣した構造を持ち,機械的刺激を与えたアッセイもできることから,動物実験なしに血管の生理を評価できる新しいプラットフォームになることが期待できる.ここでは,著者らのこれまでの取組みとして,血管・リンパ管透過吸収試験デバイス,肺高血圧症マイクロデバイス,血液細胞分化マイクロデバイスの開発とバイオ分析化学への応用を紹介する.