- 著者
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佐護 浩一
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2015, 2015
自然災害は毎年発生し、地質と深く関わりがある。 地質調査の仕事の基本型は、対象構造物が位置する場所の地質を調べることである。その成果は建設計画や保守点検に反映される。また、調査の対象がものではなく、町や人々の場合もある。そのような調査の一つとして、活断層調査がある。<br> 調査の目的は、活断層の活動履歴を明らかにすることである。最新の活動や活動間隔が明らかとなれば、対象とする活断層の将来起こりうる大地震の可能性を評価することができる。この調査には必要とされる地理的感覚が2つある。 1つは調査地の選定の際、地表のどこに活断層が位置しているのかなどを見極める感覚である。 1つは、地層の解釈の際、掘削地とその周辺はどのような地形なのかを理解することで、壁面だけでなく周囲を見渡して考える感覚である。<br> 自然災害に対峙する時、「なにが起きたのか」の分析は,多角的な視点(分野)による検討が必要である。地質調査の中で地理はその一翼を担える視点を持っている。地理の得意とするところは,地図が読めることで、先に挙げた、「周辺を見渡し、読み解くことができる」という力につながると考える。周辺を見渡し、場の条件を読み解く作業は分野を問わず、仕事をする上で必要であるとともに大切な要素と感じる。