著者
佐貫 理佳子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

外傷性脳損傷(TBI)のモデルとしてショウジョウバエを用いた解析を実施した。前年度までにミノサイクリンの薬効が若齢と老化個体で異なることを見出した。この解析をさらに進め、ミノサイクリンがTBIではなぜ若齢ショウジョウバエにのみに有効かを調べた。その結果、ミノサイクリンは若齢群の引き起こす自然免疫の活性化を抑制することができるが、老化群ではそれができないことが明らかになった。また、バルプロ酸は神経保護薬として緑内障の治療においても期待されているが、ショウジョウバエでは明確な有効性は示さなかった。自然免疫との関連をさらに解析するために、いくつかの遺伝子についてノックダウンできるショウジョウバエ系統を入手した。入手したショウジョウバエ系統を用いてノックダウンを実施したが、系統間の遺伝的背景の違いによりノックダウンの効果がマスクされてしまうことが分かった。そのため、アウトクロスを繰り返し、野生型として用いられるCanton S系統に遺伝的背景を置き換えた。また、哺乳動物での検証のためマイクロRNAを用いた老化細胞モデルの作製に取り組んだ。17ラインの細胞を得ている。この際に利用したマイクロRNAの生体における効果についても検証した。さらに、マウスの初代培養細胞を長期間にわたり培養し、自然老化モデルとして使用可能であることをb-gal解析によって確かめた。脳損傷時を模倣できる処置を行い、死亡する細胞の数が培養期間の短いものに比べて増加することが分かった。