著者
伊吹山 知義 藤原 彰夫 宇野 勝博 作間 誠 小磯 憲史
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

1.本年度は、対称行列のなすJordan algebra内のconeのゼータ関数として、重さk(整数)の次数nのSiegel Eisenstein級数 E^n_k(Z)に付随するKoecher Maassのディリクレ級数L(s,E^n_k(Z))(E^n_k(Z)のMellin変換で得られるゼータ関数)を取り上げた。今年度のこの研究における主定理として、任意のnに対して、L(s,E_n^κの完全に具体的な公式を得た。このゼータ関数の具体型はn=1は古典的によく知られている。また、n=2はフーリエ係数のMaassによる公式から、Boechererが導いている。しかし、一般の公式は予想等もこめても、全くなにも知られていなかった。結論は、多くの専門家の思いこみに反して、いたって単純な形に記述される。すなわち、nが奇数ならリーマンゼータ関数の平行移動の積の2つの線形結合になり、またnが偶数なら、重さ半整数の2つの1変数Eisenstein級数のMellin変換のconvolution productとリーマンゼータの平行移動の積、およびリーマンゼータの平行移動の積の2つのディリクレ級数の和になる。(以上桂田英典氏との共同研究による。)以上の結果の要約は数理解析研究所講究録に掲載予定。また、英文論文は準備中。保型形式の次元公式のために使用する、概均質ベクトル空間のゼータ関数と跡公式の核関数の間の関数等式、および次元公式の寄与への関係についての研究者の成果を数理解析研究所講究録に公表した。