著者
安保 徹 渡部 久実 関川 弘雄
出版者
新潟大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

研究目的:これまで、T細胞は胸腺のみで分化、成熟するものと考えられてきたが、1990年に入ってから筆者らが肝類洞で、また他の研究者により腸間上皮で胸腺外T細胞分化が起こることが明らかにされた。特に肝類洞で分化するT細胞(intermediate TCR細胞)は若いマウスやヒトではほとんど活性化されないが、加齢、細胞内寄生性微生物感染、担癌状態で活性化される。胸腺外T細胞分化の特徴は、自己応答性の禁止T細胞クローンが消去されず、かなりのものが、そのまま含まれていることがある。また、胸腺外分化が活性化するときには例外なく胸腺皮質が萎縮し、通常のT細胞分化が抑制される。本研究では、免疫寛容の破綻は胸腺外T細胞の活性化とその末梢でのクローンの拡大としてとらえなければならないという可能性を検討するのを目的としている。研究成果:マウスの肝のみならず、少数ながらintermediate TCR細胞は脾や胸腺にも存在することが明らかとなった。そして、MlsとVβ^+細胞のシステムを使用して、どの臓器でも自己応答性の禁止クローンはintermediate TCR細胞に限局して存在した。特に胸腺にはTCR^-→TCR-dull→TCR-brightのステージがあるが、いずれの分画にも禁止クローンはほとんど存在しなかった。つまり、禁止クローンは、胸腺の主要分化経路ではつくられず、intermediate TCR細胞の分化経路のみでつくられていた。考察と展望:長い間、自己免疫性の禁止クローンは、胸腺内のT細胞分化経路の破綻によって生じるものと考えられてきた。しかし、本研究によりintermediate TCR細胞の分化経路でのみつくられていることが明らかとなった。この現象は、多くの自己免疫疾患や自己免疫様状態を呈してくる慢性GVH病の病因と深く関連しているものと考えられる。本実験では正常マウスを用いたが、免疫抑制剤使用時あるいはX線照射後にも同様のことが言えるかどうかを検討する必要がある。
著者
藤堂 剛 加藤 秀樹 渡辺 敦光 佐々木 正夫 馬淵 清彦 野村 大成
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

1.マウスを用いた継世代発がん:野村はLTマウスを用い精子および精子細胞期へのX線(5.04Gy)照射により、F_1マウス非照射群の約10倍の頻度でリンパ性白血病が誘発されたが、精原細胞期照射ではICRマウスと同様に白血病は誘発されなかった。本年度は、N5マウスを用いたところ、精原細胞期照射でも約6倍の頻度でリンパ性白血病が発生し、ICR,LTと異なる結果となった。白血病発生に系統差がある。また、渡辺は原爆放射能に近い線室の^<252>Cf(中性子66%)をC3H雄マウスの精子期あるいは精原細胞期に1回全身照射(O.5,1.0Gy)し、C57BL雌マウスと交配し、F_1を14.5ケ月後に屠殺したところ、いずれの群でも、肝腫瘍が約10倍も増加した。2.原爆被爆者の子供の死亡率調査:両親の被爆線量に伴う、全死因及び癌死亡の有意な増加は認められない。発癌率調査でも殆ど認められないであろう(馬淵)。3.継世代発がん機序:マウスにおける継世代発がんの遺伝様式はヒトでのRB遺伝子やp53遺伝子の変異によるがん発生と似ている。1)網膜芽細胞腫患者の突然変異の起源を調べると情報の得られた16例のうち15例までが父親由来であり、微視突然変異(RB1)では67%に欠失・挿入・塩基置換なとどの突然変異が認められた(佐々木)。2)継世代高発がんN5マウス家系においてもp53の変異が検出された(野村)。3)マウス肺腫瘍の発生には、その70%を決定する単一の優性遺伝子が存在し、マイクロサテライトマーカーを用い調べると、第六染色体上のK-rasより10cM遠位にありK-ras intron内に欠失が存在することも明らかにした(野村、加藤)。4)藤堂は、紫外線による損傷を持つDNAに特異的に結合する蛋白を2種見い出した。1つは(6-4)光産物に対する光回復酵素で、酵素蛋白の精製に成功し、この酵素が損傷DNAを元に形に修復する活性を持つ事を明らかにした。
著者
英 貢 佐藤 真理 安田 幸夫 田中 武彦 川崎 昌博 小尾 欣一
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

光勃起プロセスによる薄膜形成の初期過程のその場診断について研究を行った。表面反応と気相反応にわけて説明する。1.表面反応計測手段の開発としては,角度分解型X線電子分光(XPS)による基板表面への材料ガス(有機金属化合物など)の吸着や光分解を調べることの外に,偏光変調高感度反射赤外分光法を確立して同じ目的に利用した。この結果,シリコン等の表面で有機分属化合物ガスが吸着する探子(物理吸着とか化学吸着)が詳しく調べられた。さらに,エキシマレーザが重水素ランプからの紫外光を照射して,吸着種が光分解する探子も分ってきた。さらに,走査型トンネル顕微鏡によってはアルミ薄暎形成の初期で島が成長し,しかも基板表面状態により結晶柱があることが観測された。同様に高連反射電子回析(RHEED)によって,シリコン基板上でチゲルマの二次元および三次元成長の楳様が明らかにされた。以上で述べたように光勃起表面反応のその場観測が多角的に行われ大きな成果を挙げることができた。2気相反応気相やでの材料ガス(シラン系ガスを中心として)の光分解により発生したラジカルの検出に,従来から行われていたレーザー誘起学光法(LIF)に加えて,赤外ダイオードレーザー分光が利用された。シラン系ガスの光分解に伴って発生したラジカルSiHnがこれらの手法で検出された。さらにゲルマンの光分解も調べられた。レーザーアブレーションによって基板からとび出した原子および基板からはね返った原子がLIFによって調べられている。
著者
西原 克成 森沢 正昭 松田 良一
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

Rouxの言うように、重力など力学が進化の原因とすれば、進化のエポックを代表する動物に、進化で生じたphysicochemical stimuliを異種性に異所性に人為的に与えれば、進化で生じた物質が異種性に、異所性に生ずるはずである。局所の細胞の遺伝子の発現で、間葉系の高次機能細胞が誘導され、この細胞レベルの分化誘導の積み重ねで形態が決まるからである。この手法を研究代表者の西原が開発し、実験進化学手法(Experimental Evolutionary Research Method)と呼ぶ。これにより哺乳類において希望する間葉系高次機能細胞をハイブリッドタイプで、当該動物の細胞遺伝子を使って人為的に誘導することができる。脊椎動物の進化は、形態と機能と分子レベルでそれぞれ異なる。形態の進化は、内臓頭蓋の形態研究を行う以外には究明することが困難である。進化を遡ると、頸部・胸部・腹部・手と足との尾のすべては原索動物に至って、内臓頭蓋の原器、鰓孔のある口の嚢に収斂して、顔の原器のみとなってしまうからである。この動物がムカシホヤであり、脊椎動物の源となる本体であり、同時に顔の源とも言える生き物である。生命の営み(機能)の中心となる細胞レベルの消化・吸収・呼吸・代謝の要は造血巣であるが、この機能の進化は重力対応により腸管から脊髄腔へ移動する。このように形態と機能レベルの進化は、まぎれもなく生命体の生体力学的対応で生じており、Neo-darwinismのいうような進化の様式はどこにも観察されない。実験進化学手法を開発し次の3点につき研究した。(1)顔の源の生物マボヤの幼形進化の人為的誘発(2)人工骨脊髄バイオチャンバーによる軟骨魚類、円口類の筋肉内における造血巣の誘導(3)原始脊椎動物の組織免疫と胎児蛋白の関係の究明実験結果から、世界に先駆けてNeo-darwinismが完全否定され、脊椎動物の進化がLamarckの用不要の法則によることが検証された。本研究で、150年間脊椎動物の生物学を支配したNeo-darwinismの進化論が系統発生学の観察事実によって完全に否定され、力学対応進化学が実験的に検証された。脊椎動物の進化様式はハードのホメオボックスの情報系とソフトの環境因子と呼ばれる情報系の二重支配であったことが検証された。
著者
津本 忠治
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

1.目的 大脳皮質で主要な興奮性伝達物質候補であるグルタミン酸は脳虚血などの病的状態においては神経毒として作用し、神経細胞の壊死を起こすことが知られている。さらにこの作用はN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の賦活によりCa^<2+>の過剰流入を引き起こすことによって生じると推定されている。最近、トリプトファン代謝産物であるキヌレン酸が脊髄においてNMDA受容体に作用しグルタミン酸に拮抗することが報告された。キヌレン酸は内因性物質であるから脳内でグルタミン酸の興奮毒性に拮抗し神経細胞死の抑制等、重要な機能的役割を担っていることが想定される。本研究では、このような内因性物質の存在様式と機能的役割を明らかにするため、グルタミン酸、キヌレン酸及びその類似アミノ酸が大脳皮質にどの程度存在するのかを明らかにしようとした。2.方法 麻酔したネコの大脳皮質視覚野にプッシュプルカニュラを設置し、人工脳脊髄液で視覚野を潅流し回収した潅流液を高速液体クロマトグラフィにて測定した。次に、光刺激を与えた場合、あるいは外側膝状体を電気刺激した場合、各種アミノ酸の濃度が変化するかどうかも解析した。さらに、潅流液をCa^<2+>フリ-とした場合この変化が生じなくなるかどうかを観察した。3.結果 回収した潅流液より17種のアミノ酸の濃度を測定できた。このうち外側膝状体電気刺激によって有意に増加したものは、グルタミン酸、アスパラギン酸及びガンマアミノ酪酸(GABA)のみであった。但し、アスパラギン酸の増加は変動が大きく光刺激の場合は必ずしも有意ではなかった。また、これらの増大Ca^<2+>依存性であることが判明した。4.結論 ネコ大脳皮質視覚野でグルタミン酸が興奮性伝達物質らしいことが示された。キヌレン酸等は計測できず今後の課題として残った。
著者
只木 良也 沖野 外輝夫 青木 淳一 斎藤 隆史 萩原 秋男
出版者
名古屋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

1.名古屋市内やその周辺の二次林について、リターフォールの季節変化、構成樹種の葉緑素の充実と成長、フェノロジー、現存量などの調査。その生産力が、貧立地にもかかわらず予想外に大きいことを確認した。名古屋市近郊里山の具体的な保全利用計画立案に参画した。(只木)2.都市樹林地で、その活動による土壌気相中のCO_2濃度の垂直分布を調べ、樹林地の環境保全効果の実態を解明した。また、外気のCO_2濃度に応じた樹木のガス交換能力、すなわち光合成、呼吸、体内蓄積(成長)などの挙動を実験的に検討し、樹木や森林の存在と空中水分の関係についても実測した。(萩原)3.都市域と里山で、鳥類の種構成、個体数の相対出現頻度および両地区の類似度を比較した。都市域の鳥類相の大部分は、里山の鳥類相に起源を持ち、都市鳥類化は、里山→農村域→都市域の順に生じたと考えられる。これを確認するためには、さらに農村域の鳥類相を調査する必要がある。(斎藤)4.都市域およびその周辺域の緑地において、豊かな自然を維持するために土壌表層の管理が重要であるが、千葉・神奈川・東京の3都県下の緑地における65地点において「自然の豊かさ」の評価を行った。その結果、評価点は自然樹林地で高く、次いで人工林や竹林、草地では評価点は低かった。(青木)5.ヨシ原実験圃場での生物群集の変遷と水質の変化について追跡調査。植物相のみならず、実験圃場に飛来する昆虫類の季節的変化も観測した。諏訪湖湖畔の再自然化計画の立案にも参画。ヨシ原実験圃場その他の研究成果を生かして、湖内に生育する水生生物の視点からの造成計画を進めた。(沖野)6.過去3年間の研究成果を踏まえて、人工集中域の自然や緑地の望ましい姿を討議し、各人の研究成果とともに研究成果報告書(「人間地球系重点領域研究B008-EK23-18」)を刊行した。(全員)
著者
市原 耿民
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

植物病原菌由来の植物毒素類は病徴の発現に関わるばかりでなく、植物調節物質など多様な生理活性を示すことで注目されている。具体的にはバレイショ細胞の肥大や塊茎誘導活性を持つコロナチンやトマトの宿主特異的毒素であるAAL-毒素を対象にこれらの高効率合成法の開発を目的として以下の成果を上げた。コロナチンは牧草イタリアンライグラスかさ枯病菌の産生毒素で、他の数種の細菌病菌も同じ毒素を生産している。コロナチンの化学構造は分光学的データ、化学反応、合成、X-線構造解析などにより決定したが、インダノン骨格を有するコロナファシン酸とアミノ酸であるコロナミン酸がアミド結合した特異な化合物である。最近コロナチンは植物ホルモンとして認識されつつあるジャスモン酸との構造ならびに生理活性との類似性が指摘され、コロナチンの方が高い活性を示すことから、ジャスモン酸の関与する生理現象を解明するための最も重要なプローブ化合物と考えられる。応用面ではセイヨウイチイの植物体をコロナチン処理することにより、抗癌剤タキソ-ルの生産性向上に役立つことも明らかとなった。シクロペンテノンを出発物質として、柴崎らの開発した不斉マイケル反応により9段階、通算収率25%で光学純度98%以上のコロナファシン酸を得ることに成功した。コロナミン酸はRーリンゴ酸より環状サルフェートを経て通算収率30%で(+)-コロナミン酸を得ることが出来た。最後にコロナファシン酸とコロナミン酸を水溶性ジアルキルカルボジイミドを縮合剤としてアミド化し、保護基を除去して高収率でコロナチンを合成した。この合成法により幅広い生物活性試験が可能となった。
著者
杉山 治夫 相馬 俊裕 岡 芳弘 小川 啓恭
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

1.多数例の化学療法を受けた白血病患者で、治療前、導入療法終了時、地固め療法終了時のWT1値をRT-PCR法を用いて測定したところ、治療前は、全例、異常高値を示したが、導入療法後、約半数の患者で、WT1値は検出感度以下になっており、さらに地固め療法後は、約70%の患者で、WT1値は、検出感度以下になっていた。このことは、WT1 assayで、白血病のMRDを的確にモニターできることをconfirmした。2.同種骨髄移植後のAML患者のMRDをWT1 assayでモニターしていたところ、WT1値の上昇が見られたので、分子再発と診断し、分子再発の時点で、ドナーリンパ球輸注(DLT)を行ったところ、著効を呈し、通常の副作用もなかった。このことが、WT1 assayで、再発を分子再発のレベルで診断し、早期にDLTを施行すれば、DLTの有効性が増大することを示している。3.チェルノブイリ原発事故の被曝者が末梢血でのWT1値を測定したところ、異常高値をとるものが多く認められ、これらの人々の今後の経過が注目され、WT1 assayによる白血病の早期診断の可能性も出てきた。
著者
井上 尚英 平田 美由紀 田中 昭代 槇田 裕之 大村 実
出版者
九州大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

この研究では、まず、7種類の農薬・同分解産物の雄性生殖毒性の有無をスクリーニングした。そして、雄性生殖毒性が認められた物質について用量作用評価実験によってその最大無作用量を求め、さらに、その物質を含む飲料水を摂取した場合の男性生殖機能への影響についての推定を行った。スクリーニング実験では、7物質(1,3-ジクロロプロペン,フェニトロオキソン,イソプロチオラン,チオベンカルブ,クロロニトロフェン,p,p′-DDE,γ-BHC)のうち、298mg/kgのインプロチオランのラットへの単回経口投与で、精巣重量の減少、精細胞数および精子数の減少、精細管からの精子放出遅延が認められた。次に、100mg/kg〜600mg/kgの投与量でイソプロチオランの雄性生殖毒性についての用量作用評価実験を行った。しかし、この実験ではイソプロチオランの雄性生殖毒性は認められず、その最大無作用量を求めることはできなかった。そこで、飲料水摂取による男性生殖機能への影響の推定では、スクリーニング実験でのイソプロチオランの投与量(298mg/kg)をラットへの単回経口投与での雄性生殖毒性についての最小作用量と仮定した。そして、1回投与量を1日摂取量と考え、1日の摂取では男性生殖機能への影響はないと予測される飲料水中のイソプロチオラン濃度をUSEPAの1日HA値の算定方法に従って求めた。その結果、7.45mg/L〜74.5mg/Lというイソプロチオラン濃度が得られた。この値は、日本の水道水中イソプロチオラン濃度の最高値(2.0μg/L)および環境水中濃度の最高値(69.8μg/L)より100倍から1000倍以上も高い値であり、また、イソプロチオランは塩素滅菌処理で除去されると考えられることから、1日の摂取では、飲料水中のイソプロチオランによる男性生殖機能への影響はないものと考えられた。
著者
小坂 丈予 平林 順一 吉田 稔 鎌田 政明 松尾 禎士 小沢 竹二郎
出版者
岡山大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

1.全国の火山地域における噴気ガスの化学成分測定とその変化:一 今年度は本邦における有珠, 十勝, 雌阿寒, 樽前, 北海道駒ヶ岳, 旭岳, 秋田駒ヶ岳, 秋田焼山, 鳴子(潟沼), 那須, 草津白根, 富士(河口湖), 木曽御岳, 伊豆大島, 雲仙岳, 霧島, 桜島, 開聞(うなぎ池)などの諸火山について, 噴気ガスの噴出温度, 化学成分, 噴出量や速度などを測定し, 特に火山活動の消長と噴気ガスの成分変化との関係を求められた.2.諸火山の噴気孔ガスの化学的研究から判明した2, 3の事実:- 今年度の調査結果から判明したことのうち2, 3の例について挙げると, 有珠火山に於いては, その化学組織と同位体組成の次時間変化から, その最高値より出口温度の最高値の方が約2年遅れて出現することが判った. また秋田焼山の叫沢の噴湯はその酸素・水素同位体比の測定などから山頂の噴気ガスと低温の地下水との混合後に与熱されて噴出した特殊な湧出過程であることや, また今回活動が活発化した雌阿寒岳ではフッ素/塩素比の明らかな増加が見られ逆に活動の沈静化が進んでいる大島ではこの値の低下が認められた.3.大気中に放出された火山ガスの滞留状況と災害についての調査研究:- 1986年5月に火山ガス中毒死亡事故の発生した秋田焼山叫沢に於いて, 大気中に滞留している火山ガス濃度の分布状況は, ガス発生地点の位置, 発生濃度, 温度, 地形, 気温, 風向等に密接に関係することを確かめ, 現在でもところにより250ppm以上の滞留濃度を示すことがあるのが確かめられた. 同じくガス中毒事故のあった草津白根山殺生河原や, その他桜島, 木素御岳などでも同様大気中に拡散した火山ガス濃度の経時変化を測定した.4.研究の問題点と今後の展望:- 火山ガス災害の発生源である火山噴気ガスの濃度・発生量等の予測と, 大気中への拡散後の地形・気象条件との関係についてより詳細な調査が必要である.
著者
倉田 毅 田村 慎一 小島 朝人 岩崎 琢也 佐多 徹太郎 山西 弘一
出版者
国立予防衛生研究所
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

HIV感染後、エイズ発症に至るまでの体内での動態についてはよくわかってはいない。in vitroでみると、HIVと突発性発疹の病原体であるヒトヘルペスウイルス6(HHV6)は、CD4陽性Tリンパ球を標的とする。エイズ発症初期の全身リンパ節の系統的腫脹(PGL)の特徴は異常なリンパ濾胞の過形成と樹状突起細胞の腫大であり、B細胞の増生である。悪性リンパ腫として疑われて生検されたPGL初期のリンパ節で抗原の分布を免疫蛍光法、ABC法でみると、HIVは主として胚中心を中心として濾胞内に大量に存在するのに対し、HHV6は濾胞周辺領域に大量に検出された。両ウイルスは、23例でみるとエイズの症状の進行と共に、萎縮期の全身リンパ節における検出率が減少した。HIV抗原は樹状突起細胞を中心にその周辺に網状に、HHV6抗原はマクロファ-ジおよびリンパ球にみられ、両者の分布域と細胞は明らかに異なっている。今回の事実から、HHV6は、HIVがリンパ節内において活性化されると共に、異なった領域で活性化され相互に作用しながらCD4陽性細胞を破壊するものと推定される。他のウイルスが日和見感染としてエイズの後期において活性化されるのに対し、この2つのウイルスはPGL期において重要な役割を担っていることが明らかになった。AC患者の末血20名をみると、両抗原が検出されることはないが4ー7日の培養で、6名でHIV、7名でHHV6が検出されてきた。この時期においては両ウイルスは活性化されているとはいえず、ACからPGLへの進展の要因が何であり、それがどのようにHIVとHHV6動かすかについての検討が次の課題である。
著者
古谷 圭一 田中 勇武 竹本 和夫 坂本 和彦 江見 準 瀧島 任
出版者
東京理科大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究の主眼は、1.吸入粒子の呼吸器内沈着挙動の理論的実験的研究、2.呼吸器内に取り込まれた吸入粒子の種類、部位、沈着量、溶解量の評価、3.吸入粒子のフェイトアナリシスと生体影響評価である。第1のテーマに関して、人体呼吸器を16部に区別、これへの吸入エアロゾル粒子吸着とクリアランスを計算できる簡易式を開発し、その有効性を確認した、(高橋幹)、肺胞領域での吸入空気と肺内残存粒子の混合沈着機構をシミュレートできる不均一伸縮場ガラスシェル肺胞モデルを作成し、その影響が0.1μm付近の粒子に大きいことを明かにした。(江見)、第2のテーマに関して、化学形態の異なるNi化合物粒子吸入膜露実験を行ない、クリアランス期をおいて各臓器でのNi滞留量を比較した。(田中)、吸入エアロゾルスペーサーの効果をエアロゾル粒子数、粒径分布を測定し、4μm以下の小粒子を吸入させるためには大スペーサーが効果的であると結論した。(瀧島)病理解剖例を用い、人肺組織、肺門リンパ腺中の金属元素分析を行い、呼吸器病変、生活歴との相関を調査した。(竹本)気道鋳型モデル、微細気管内挿管法、吸入実験、培養肺マクロファージ試験管内実験など新手法を用い、NiO,石炭フライアッシュ,放射性BaSO_4,放射性Fe(OH)_3等微粒子の沈着量,毒性,溶解性,除去作用を明かにした。(高橋テ)、第3のテーマに関して、硫化ニッケル石炭フライアッシュの各種培養液への溶解挙動を明らかにした。(古谷)、フラッシュ脱離・質量分析法を開発し、ラット肺中数ngのPHAの定量に成功した。(飯田)レーザー励起蛍光・ミセル動電クロマト法を開発し、fgのPHA定量を可能とした。(今坂)モデル肺液へのPHA溶解度を測定する装置を開発し、生体影響評価に役立つ結果を得た。(坂本)本研究は、10名の相互の協力により、共通試料の提供、専門知識、設備の利用により、きわめて新しい成果を得ることが出来た。
著者
三町 勝久
出版者
九州大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

研究代表者はジャック多項式及びそのq-類似であるところのマクドナルド対称多項式(正確にはそのA型)の具体的な積分表示に既に成功していた。本年度はこれを出発として、QKZ方程式、マクドナルドの作用素に付随する固有値問題などを、積分を軸として多角的に考察することを目標にしていた。その具体的成果は次の通りである。1)Cherednikの意味でのルート系A型に対するQKZ方程式の積分表示解を与えた。しかし、積分領域たるサイクルに関する議論は先延ばしにしてあり、その意味で正確にいえば、ある種のコホモロジークラスにおける解を与えたことになっている。サイクルに関する具体的な考察は今後の課題である。文献1。2)1)のQKZ方程式の積分表示解の議論から、マクドナルド作用素の固有函数の積分表示解(これも上述の意味)の予想を得ていたがそれに関する証明を野海正俊氏との共同研究により二通り与えた。これによりマクドナルドの作用素に付随する固有値問題を積分を通して議論することが可能になった。文献2。3)2)で与えた積分表示の積分領域を考察することにより、マクドナルドの作用素に付随する固有函数の有理函数解を抽出した。このことから直ちにQKZ方程式の有理函数解が得られる。特殊な場合にワイルの指標公式を含んでいることから、逆にその一般化と見なすことができるものである。(論文準備中)4)マクドナルド対称多項式の積分表示における積分領域を漸近解析の感覚を頼りに考察することで、マクドナルド対称多項式の内積値を計算してみせた。これはマクドナルドの内積値予想(正確にはそのA型)と呼ばれるていたもので、それの別証を与えたことになっている。文献3。5)マクドナルド対称多項式はダンクル作用素の固有函数として捉えることもできるが、逆にダンクル作用素の固有函数には対称でない多項式も含まれる。これがマクドナルド非対称多項式である。代表者はこの多項式に関する再生核公式を野海正俊氏との共同研究により導いた。文献4。
著者
河野 憲二
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

発生過程及び個体レベルでの研究が比較的容易なショウジョウバエを用いて、DNA修復に関与するショウジョウバエXPA遺伝子(Dxpa)の発現や産物の機能を明らかにした。まず発生の各段階で、DxpamRNAの発現をノザン解析で調べたところ、発現量に数倍の差はあるものの予想通りどの組織においても、またどの時期においても発現していた。成虫では頭部よりも胸腹部での発現が高かった。さらに各組織での蛋白の発現を詳細に調べる目的で、Dxpa遺伝子のプロモーター下流にレポーター遺伝子としてβ-Galをつなぎ、その発現を発生の各ステージで調べた。その結果、頭部では視細胞が強く染色され、筋細胞でも強く発現されたので、Dxpa蛋白は中枢神経系や筋肉で強く発現されていることが示唆された。このことを確認するために、抗Dxpa抗体を作成し成虫と胚とでのDxpa蛋白の発現を調べたところ、全組織で発現されているが特に中枢神経系と筋組織で発現が高いというβ-Galでの実験結果を裏付けるデータを得た。何故これらの組織での発現が高いのかは予測の域をでないが、中枢神経系では酸素ラジカルによるDNA傷害が起きそれらの修復のためにDxpa蛋白が必要とされるのではないだろうか。これとヒト色素性乾皮症A群の患者が示す神経性疾患症状との関連については、検討の価値がある。そのためには、Dxpaの欠損したハエ個体の作成が望まれる。またmei9という紫外線高感受性変異は、Dxpa遺伝子の変異ではないことがゲノムマッピングにより確認できた。
著者
関本 照夫 清水 展 内堀 基光
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

本研究は、重点領域研究『総合的地域研究』の計画研究「外文明と内世界」に関連する公募研究で、東南アジアの近代において、西欧からもたらされたナショナリズムが内に取り入れられ、民族や国民の文化についての集団的自意識が生み出される過程を研究している。昨年度に行った理論・概念の検討につづき、本年は、現地調査や東南アジア各地の出版物その他メディアの収集を通じ、いくつかの事例研究を進めた。その第1の発見は、国や地方のさまざまなレベルで「われわれの文化」についての語りの制度化が、今非常な速度で進行していることであり、われわれの当初の予想が裏付けられた。インドネシアでは、この過程はすでに1世紀以上にわたって進行している。現在の特徴は、経済・技術面で国境の壁が弱まって行くのに反比例して、文化のナショナリズムが強まっていることである。「グロバリゼーション」という言葉が流行する反面で、地球時代だから民族の文化価値を守らねばならぬという言説が、マスメディアを通じて氾濫している。東マレーシアのサラワク州では、最大の集団イバンのあいだで、慣習法典の編纂やイバン文化会議の開催など、「民族文化」を意識的に画定し制度化する仕事が進んでいる。人々はこうした過程を、過去から受け継いできた伝統を維持する作業と意識している。しかしわれわれの研究から明らかになったのは、至る所で「伝統」が新たに発見され創出されている事実である。ピナトゥボ火山の噴火災害により従来の生活基盤が破壊されたアエタ・ネグリートの場合には、深刻な状況のなかでアエタ意識が強化され自分たちの文化についての語りが、今新たに生成しつつある。こうした事例を通じ、文化が、単に出来上がったものの保存ではなく、たえず新しい状況のなかで再発見・再創造される流動性を確認した。
著者
別府 哲
出版者
岐阜大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

別府(1994)は後方向の指差し理解を検討する中で、自閉症児も健常児と同様、一定の発達年齢(発達年齢1歳以上)になれば指差した方向を振り返る事は可能であること、しかし共有伝達行動(大人に指差された方向を自分も指差しながら、振り返って大人を見る)に見られる他者認識は、健常児と比較して自閉症児の弱い点で在ることを指摘した。それでは自閉症児はどのようなレベルの他者認識を持っているのか。その点を観察による他者の「振る舞いとしての理解(麻生1980)」側面から、検討することが今回の目的である。そして対象としては、通常1歳頃に見られる、他者の情動を変化させる行動(からかいtease)に焦点を当て、それが在る時期に頻発した自閉症児N児一事例を取り上げる。方法としては、保母の日誌、母親の連絡帳、月1回程度のビデオ記録(3歳0カ月から6歳7カ月迄)から、(1)N児自身の喜びや不快等の情動表出場面、(2)母親・保母・他児がN児に対して喜びや不快の情動表出を行った場面、を取り出し分析した。取り出した場面は計531場面となる。ア・からかい行動の発達:からかい行動を「他者の予期を認識しその意図的操作を含む行動(James&Tager-Flusberg,1994)」と定義すると、N児の場合は「追い掛けられるのを期待して逃げる」形で出現した。最初は、N児自身が相手を叩くことで相手がプレイフルな情動に基づいて追い掛けてくれるのを楽しんでいたのだが、途中から相手がプレイフルな情動であるかどうかと無関係に相手の行動のみを求める行動に内容が変容して行った。これを「自分の特定の行動→(相手の特定の情動→)それに基づく相手の行動」と言う、一義的な随伴性の理解による他者理解に基づくからかい行動と考える。イ・指差しの理解との関連:N児の場合、指差し理解の成立がアで述べた一義的な随伴性の理解による他者理解に基づくからかい行動出現の時期と一致し、そのレベルの他者理解との連関が想定された。
著者
小林 信之
出版者
山口大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

我々は従来よりAIDS発症のco‐factorとして、TNF(tumor necrosis factor;腫瘍壊死因子)を提唱してきている。本研究において我々は以下の2点を新たに明かにした。その第1点は、TNFによるHIV感染細胞の特異的致死機構が所謂Apoptosisの機構に拠っており、TNFによるHIV複製増強がHIV感染細胞の特異的致死を誘因しているのではないことを明かにしたことである。近年細胞のApoptosisを仲介すると考えられている細胞膜上の糖蛋白Fas坑原遺伝子が分子クロ-ン化され、細胞死の機構がようやく明かにされうる段階に来ており、今後HIV感染相棒の特異的致死機構がこの観点からさらに詳細に検討されていくものと期待される。我々が明かにした第2の点は、HIV転写制御に細胞特異的に関わる因子の存在と、その因子が作用するHIV‐LTRの中のcis‐elementの同定である。我々が新規に見いだしたこのcis‐elementはHIV‐LTRの‐121から‐158に存在し、この領域がヒトT細胞株MOLT‐4でHIVの転写を正に調節していることから我々はこの領域をURE(up‐regulation element)と命名した。この領域は単独にHIV転写を制御する因子ではなく、HIV‐LTR中のエンハンサ-(Enhancer)領域の機能を制御する領域である事が明かとなった。、HIVの転写には必須の領域ではないが、この領域の存在はHIVの転写を最大500倍活性化すること、さらに、この領域の活性が細胞特異的であることも見いだした。今後この領域に働く細胞性因子の検索を行なっていく予定である。
著者
上野 健爾 土屋 昭博 河野 俊丈 伊達 悦朗 神保 道夫 柏原 正樹 松本 尭生 三輪 哲二
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

本研究は重点領域研究「無限自由度の可積分系の理論とその応用」の成果取りまとめのために行われた。平成4年度から5年間にわたって行われた本重点領域研究では無限自由度の可積分系の理論を中心に数多くの重要な成果が得られたが、これらの成果を有機的にまとめ、今後の研究へのひとつの指針を与えることが本研究の目指したものである。具体的には2次元格子模型、共形場理論、量子群、3,4次元トポロジー、無限自由度の可積分系と関係した代数幾何学に関してさらに研究を進め、今までに得られた成果をさらに高い立場から見直すことを行った。この結果、Calabi-Yau多様体のミラー対称性や量子コホモロジー群、量子群の表現と古典関数のq類似、3,4次元多様体の位相不変量などに関する研究において新しい知見が得られた。さらにこれらの成果は、非線型幾何学とも呼ぶべき新しい幾何学が背後にあることを強く示唆している。特に深谷のグループはCalabi-Yau多様体のミラー対称性を幾何学的に新しい見地から論じ、今後の研究に重要な一歩を踏み出した。また本年度の研究によって、神保のグループを中心に離散的Painleve方程式が幾何学的な構造を持つことが明瞭にされ、可積分系のもつ幾何学的構造の豊かさが改めて明らかになった。今後は、本重点領域研究の成果に基づき、非線型幾何学の建設へ研究が大きく前進していくことが期待される。
著者
田中 英彦 富田 眞治 斉藤 信男 雨宮 真人 村岡 洋一
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

重点領域研究・超並列は総括班と、4つの研究班、それぞれ(A)超並列アプリケーション班、(B)超並列プログラミング言語班、(C)超並列計算機用OS班、および、(D)超並列アーキテクチャ班で構成されている。本年度は成果とりまとめの年度として、各班がそれぞれの成果をリファインするとともに、最終のデモンストレーションに向けてそれぞれの成果や開発されたシステムの垂直的な統合化をを行った。総括班は研究全体の取りまとめを司り、約3か月ごとに会合を開き、各班の研究状況の確認や意見交換などを行った。本年度は、特に成果とりまとめ年度として、3月の第7回「超並列」シンポジウムの開催、その際のデモンストレーションの計画、成果をまとめた英文図書の出版、過去のシンポジウムの予稿集のCD-ROMの作成など、プロジェクトの成果を積極的に国内外にアピールしてゆく活動を幅広く敢行した。A班は、超並列計算における新たなアルゴリズムやアプリケーションの構築を目的とし、以下のような応用に対しB班が開発した超並列言語NCXなどへの移植を行い、各種の実験や性能評価、及び言語開発へのフィードバックを行った:・熱流体、渦発生のシミュレーション・弾性体の変形と応力の計算(境界要素法)・場の計算(境界要素法)とSORによるポアソン方程式求解 ・有限要素法における自動メッシュ分割・コンピュータグラフィックスにおける並列レンダリング・生態系(魚群)の自律型行動シミュレーション・並列遺伝的プログラミングによるニューラルネットの構造生成・実時間音楽情報処理システムB班では、超並列言語NCXの実装を改良すると共に、共有メモリ型計算機、分散メモリ型並列計算機、ワークステーションクラスタなど、種々なアーキテクチヤを持つ並列計算機への対応化を行った。また、幾つかの代表的なベンチマークプログラミングを移植し、それぞれの計算機上で性能評価を行った。更に、その他のMIMD型の超並列型プログラム言語V,ANET-LやABCL/fなどの並列計算機上での開発も行った。C班では、超並列計算機でのマルチユーザの保護と性能、複数のユーザのプログラミングモデルの提供、超並列用入出力機構のサポート、などの特徴を備えた超並列計算機用のOS・COSを設計・開発した。本年は、D班の作成する超並列計算機JUMPミ1へのCOSの実装に備え、並列ワークステーションをLANで接続した評価用の環境を用意し、その上にJUMP1ミ1のエミュレータとCOSマイクロカーネルをのプロトタイプを結合したCOSエミュレータを設計・実装した。また、D班の開発したプロトタイプボードJUMP-1/3(仮称)へのCOSエミュレータの移植を行った。D班では、様々な超並列計算のパラダイムに対応できる共有メモリ超並列計算機JUMPミ1の研究開発を遂行し、本年度は(1)主要コンポーネントであるメモリベースドプロセッサ(MBP)、キャッシュコントローラ、ネットワークル-タなどのを開発・デバッグを行い、(2)MBPをDSPでソフトウェアシミュレーションして他の部分はJUMP-1と同設計のシステムJUMP-1/2の設計・開発をし、(3)また、JUMP-1の特徴である高速プロセッサ間ネットワークRDTや高速シリアルI/OシステムStaff-Linkの開発・及びCOS開発のために、SUNワークステーションに接続して種々の実験が行える評価用ボードJUMP-1/3の設計・開発を行った。
著者
西川 治 田村 俊和 太田 勇 新井 正 氷見山 幸夫 野上 道男
出版者
立正大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

本総括班の主たる任務は、本研究の領域全体にわたる研究推進上の企画と運営、および各班間の連絡と調整、ならびに研究成果の公表等にある。平成5年度の具体的事項を以下に示す。1.総括班会議を1回、計画研究班長会議を6回開催して、研究成果のまとめ方と公開の方法について検討した。2.本年度行ったシンポジウムは次のとおりである(予定のものを含む)。(1)第5回公開シンポジウム「GIS教育(ワークショップ)」(於 慶應義塾大学)1993年5月15日講演者数6名、参加者約100名。(2)第6回公開シンポジウム「数値地図と環境」(於 東京都立大学)1993年7月7日講演者数7名、参加者約120名。(3)第7回公開シンポジウム「地域環境変化と地理処理システム」(於 慶應義塾大学・明治大学)1994年4月3〜5日(予定)3.本年度発光した印刷物は次のとおりである。(1)NCGIAのCoreCurricilumより、GIS技術論を翻訳し(383頁)、1993年5月に刊行した。(2)本重点領域研究の研究成果総括報告書(195頁)を1993年10月に刊行した。(3)GIS技術資料のNo.3とNo.4(合本で123頁)を1994年3月に刊行した。(4)研究成果をまとめたCD-ROM(2巻)を1994年3月に完成・配布を開始した。4.本重点領域研究の成果をもとにまとめたアトラス「日本の近代化と環境変化」の執筆と編集を行なった。刊行は1994年6月の予定である。加えて、研究成果に関する概説書の編集を行なっている。5.本研究の成果を踏まえて、IGBPの第7領域との関連をもたせた次期研究計画の策定を行なっている。