著者
侯 月江 太田 正義 加藤 弘通
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.134, pp.1-15, 2019-06-27

不登校児童生徒の割合は,とりわけ中学校1年生と中学校2年生において顕著に増加する。本研究はこの問題を受けて,学年移行期における欠席行動の説明要因を明らかにすることを主たる目的とする。具体的には,学校適応状態の指標である学校享受感を移行前後で測定し,そのレベルと変化が移行後の欠席行動と関連するのかを,短期縦断調査によって検討した。1年生に進級した484名,2年生に進級した543名を対象に調査を行った結果,(1)1年生,2年生への移行前後において,学校享受感のレベルと変化には個人差があることが示された。(2)学年移行後の欠席日数はゼロ過剰ポアソン分布に従う可能性が示された。(3)欠席行動の有無には,学校享受感のレベルと変化の両方が影響していることが確認された。これらの結果を受けて,学年移行期における不登校の予防に向けて,学校享受感の視点から支援方策について考察した。