著者
赤峰 生朗 大高 亜生子 保倉 明子 伊藤 勇二 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.863-871, 2010 (Released:2010-12-21)
参考文献数
17
被引用文献数
9 12

実験室レベルで高感度な分析が可能な三次元偏光光学系蛍光X線分析装置を用いて,コーヒー豆の微量元素を定量し,統計解析を行った.産地判別に有用な元素を明らかにし,簡易・迅速な産地判別法として確立することを目指した.産地の指標となる6元素(Mn,Fe,Ni,Rb,Sr,Ba)を高感度に分析するために測定条件を最適化した結果,各元素において直線性のよい検量線を作成することができ,各元素の検出限界は,サブppmレベルとなった.コーヒー生豆75試料中の6元素を定量し,主成分分析を行った結果,6産地(ブラジル,コロンビア,ベトナム,インドネシア,タンザニア,グアテマラ)の生豆を特性化することができた.また,同ロットの生豆と焙煎豆の各元素濃度を比較した結果,これらの6元素について大きな差は見られなかったため,今回の産地判別手法における焙煎の影響は小さいことが分かった.本手法では,試料の前処理は10分程度,測定時間は2時間30分であり,自動連続測定が可能であることから,簡易・迅速な実用性の高い分析手法として,コーヒー豆の産地判別への応用が更に期待される.
著者
大高 亜生子 簗田 陽子 保倉 明子 松田 賢士 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1011-1022, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
29
被引用文献数
10 11

小麦粉の産地判別を目的として,蛍光X線分析法により小麦粉中の微量元素の高感度定量を試みた.三次元偏光光学系エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用い,測定条件を最適化した結果,小麦粉中の17元素(Na,Mg,Al,P,S,Cl,K,Ca,Mn,Fe,Cu,Zn,Br,Rb,Sr,Mo,Cd)において直線性のよい検量線を作成することができた.本法はサブppmレベルの重元素の定量が可能であった.63試料の小麦粉の定量分析を行ったところ,国産と外国産・混合とで微量元素組成に異なった傾向がみられた.更に,産地の指標となると考えられた特定の元素の定量値を用いた多変量解析から,国産の小麦粉をほぼ正確に判別できる判別式を構築することができた.本研究により,迅速・簡便な蛍光X線分析が産地判別に有用であることを示すことができた.今後は,本法がその他の食品へと応用されるだけでなく,多検体の分析を要する食品の品質検査における実用的な分析法として利用されることが期待される.
著者
保倉 明子
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.416-418, 2011-12-31 (Released:2012-01-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

In tobacco plants, elimination of Zn and Cd via the production of Ca-containing grains at the top of leaf hairs, called trichomes, is a potent detoxification mechanism. When tobacco plants were grown in a nutrient solution containing an amount of Cd and low Ca supplement, most of the grains were oblong-shaped and low-Cd-substituted calcite. When exposed to the same amount of Cd and high Ca supplement, grains were more abundant and diverse in compositions, and in total more Cd was eliminated. Most grains in the high Ca/Cd experiment were round-shaped and composed predominantly of Cd-substituted vaterite, a usually metastable calcium carbonate polymorph, and subordinate calcite.