著者
三浦 聡子 クロフツ 尚子 保坂 優子 藤田 直子
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.180-187, 2021-11-20 (Released:2022-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

我が国では米の消費量が50年前の半分にまで低下しており, 食感が異なる, 機能性を有するなどの特徴を持つ新しい米品種が求められている. 我々は, 主食用米とは食感が異なるジャポニカ系の高アミロース米「あきたぱらり」, 「あきたさらり」および機能性米となり得る高レジスタントスターチ(RS)米「まんぷくすらり」を開発した. 本研究では, これら3品種を用いて胚乳澱粉構造を解析した. また, 加工方法が異なる4種類のサンプルを作成して, 異なる消化時間におけるそれらの消化特性をRSアッセイキットを用いて明らかにした. いずれの品種においても, 生の米粉よりも糊化した米粉の方が, 粒のままの炊飯米よりもすりつぶした炊飯米の方が, 短時間で消化する傾向があった. 生の米粉と粒のままの炊飯米を用いた場合, 「まんぷくすらり」は, 2時間以内に消化される澱粉量が他の品種と比べて半減しており, 16時間経過しても消化されないRS値も有意に高かった. 以上のことから, 他の3品種と比べて見かけのアミロース含量とアミロペクチン長鎖の割合が多い「まんぷくすらり」は, 食後短時間の血糖値の上昇が緩やかになる可能性が高く, 整腸作用も期待できる.