著者
小林 秀輝 藤田 直子
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.531-536, 2017-03-31 (Released:2017-09-13)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The stone roof is a rare architectural design found in Tsushima. Here, these stone roofs are used for the storehouse. While it has been reported that the number of stone roof storehouses are currently decreasing, not all have been investigated for about 10 years. We conducted a survey on the distribution of stone roof storehouses since 2014 and clarified the latest situation on their state of survival. Due to this distribution survey, the survival of 43 stone roofs was confirmed. Roof shapes in the form of 13 gable roofs and 30 entrance hall roofs were noted. In addition, by comparing the number of buildings with stone roof storehouses in each village for the last 10 years with data from past research, it was observed that the rate of decrease varied from village to village.
著者
藤田 直子 小野 良平 熊谷 洋一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.417-420, 2005-03-31
参考文献数
45
被引用文献数
3 4

"Shasoh" is the peculiar forest spaces in Japan. The objective of our study is to make clear the meanings, significance, evaluations, and transition of Shasoh in a process of legislation of National Monuments. The period of research was from the Meiji Era to the early Syowa, and research method was using the journals named National Monuments to examine how they recognized the preservation system for national monuments. In the early period, it was observed that Shasoh was recognized not only as the forests with excellent scientific value but also as the space implying the combined value. Additionally, some of Shinto shrines were abolished and others were merged by government in this age. The research detected in those journals and other articles that SHIRAI Mitsutaro emphasized the value of Shasoh against that. However, the point of view to see the meaning of complicated values with Shasoh has vanished, on the other hand, Shasoh has become to be recognized as the place of botanical meanings.
著者
三浦 聡子 クロフツ 尚子 保坂 優子 藤田 直子
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.180-187, 2021-11-20 (Released:2022-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

我が国では米の消費量が50年前の半分にまで低下しており, 食感が異なる, 機能性を有するなどの特徴を持つ新しい米品種が求められている. 我々は, 主食用米とは食感が異なるジャポニカ系の高アミロース米「あきたぱらり」, 「あきたさらり」および機能性米となり得る高レジスタントスターチ(RS)米「まんぷくすらり」を開発した. 本研究では, これら3品種を用いて胚乳澱粉構造を解析した. また, 加工方法が異なる4種類のサンプルを作成して, 異なる消化時間におけるそれらの消化特性をRSアッセイキットを用いて明らかにした. いずれの品種においても, 生の米粉よりも糊化した米粉の方が, 粒のままの炊飯米よりもすりつぶした炊飯米の方が, 短時間で消化する傾向があった. 生の米粉と粒のままの炊飯米を用いた場合, 「まんぷくすらり」は, 2時間以内に消化される澱粉量が他の品種と比べて半減しており, 16時間経過しても消化されないRS値も有意に高かった. 以上のことから, 他の3品種と比べて見かけのアミロース含量とアミロペクチン長鎖の割合が多い「まんぷくすらり」は, 食後短時間の血糖値の上昇が緩やかになる可能性が高く, 整腸作用も期待できる.
著者
千原 敏裕 永井 淳 阿久津 功 本行 博 高橋 慶壮 清水 尚子 谷本 一郎 島袋 修 藤田 直子 宮本 学 高柴 正悟 後藤 弘幸 西村 英紀 磯島 修 清水 秀樹 栗原 英見 野村 慶雄 村山 洋二
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.204-212, 1992-03-28

早期発症型歯周炎を発症している家族(母親とその娘2人)の歯周病病態を宿主防御細胞機能に重点を置いて解析した。母親(40歳)は急速進行性歯周炎,娘A (14歳)は限局性若年性歯周炎,そして娘B (13歳)は単純性歯肉炎と臨床診断した。好中球機能は,母親が遊走能において低かった。CD4陽性細胞検出率およびT4/T8は母娘全員が高い値を示した。CD3抗体で刺激したときのTリンパ球増殖活性は,娘Bが低かった。HLAフェノタイプは,母娘で共通してDQw1とw3およびDRw10とw12を検出した。Actinobacillus actinomycetemcomitansに対し母親,娘Aおよび娘Bが,Porphyromonas gingivalisに対し母親と娘Bが,Fusobacterium nucleatumに対し母親が高いIgG抗体価を示した。本家族の歯周病発症機序は,本研究において調べた生体防御機能の諸機能所見だけから,明確にできるものではなかった。歯周病の病態解析には,さらに幅広い生体防御機構のネットワークを念頭に置く必要がある。
著者
藤田 直子 熊谷 洋一
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.9-21, 2007-12-15 (Released:2011-08-17)
参考文献数
50
被引用文献数
4 4 2

近年, 空間配置やネットワーク概念によって都市緑地を捉えようとする動きが活発化している.このようなアプローチは, 従来の都市緑地の分析・評価に対して行われてきた緑被率や面積による判定では評価されない部分に対して価値を与えることを可能とし, 元来見逃されてきた緑地の潜在性を明らかにすることも可能であるため, 今後の緑地計画上大きな意義があると考えられる.このような視点で緑地の特徴を理解し, 都市緑地計画上に位置づけるためには, それらが各々の価値観に応じて配置されてきたことを理解し, それらの分布の特徴を把握する必要がある.その際, 緑地を画一的に取り扱うのではなく, 文化や歴史を培う基盤であり, 実際の空間と歴史性や場所性との間に連動性があることを理解した上で, 各々の配置されている特徴を空間的に理解する視点が重要である.以上をふまえ, 本研究では各々の歴史性や場所性を考慮して緑地を空間計画に生かすことを念頭に置き, 各々の立地場所そのものがそれらを示す指標であると考え, 各々の立地地点を比較してそれらの差異を明らかにし, それぞれの特性に応じた緑地の在り方や関係性を検討することを目的として研究を行った.研究対象地は東京都23区部とし, 「神社」「寺院」「公園」の分布形態の特徴と相違点を平面的分布形態と立体的分布形態から分析することにより, 3者の分布形態の特性及び地形との関係を明らかにした.その結果, 各々の立地分布の特徴は, 平面的分布形態では神社及び公園はランダム分布の傾向があり, 寺院は集中分布の傾向があることが明らかになった.一方地形との係わり合いを求めた立体的地形的特徴では, 神社が斜面地部に沿って線上に分布し, 寺院が斜面の下部の低地上や上部の台地上に集塊性を持って分布する特徴が認められた.このように神社・寺院・公園のタイプごとの分布形態の特徴と相違点を平面的分布形態と立体的分布形態から分析することにより, 神社の立地は凝集性を持たず全域にわたってランダムに分布しながら, 寺院や公園に比べて地形との結びつきが強いことが明らかになった.従って, 神社が集塊性を持たず局所的な分布の偏りが無くどの地域にも存在するため, あらゆる地域において緑地空間になり得る潜在的特性を持ち, なお且つ公園の立地と異なり, 地形の変化や自然性を考慮した緑地空間として評価できる空間に成り得る潜在的特性を持つことが示唆された.
著者
藤田 直子 熊谷 洋一 下村 彰男
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.591-596, 2007-03-30
参考文献数
59
被引用文献数
3

The objective of this study is to make clear the difference of spatial conceptions of open spaces of Shinto shrines between "Shasoh" and its synonyms "Chinjyuno-mori" and "Shaji-rin". We approached the sides of qualitative changes and quantitative changes. By both side of research, we could make clear the meanings and their contexts considered with the social background of their words. As a result, we can mention similarities and differences between "Shasoh", "Chinjyuno-mori" and "Shaji-rin". From 1975 onward, the spaces of forest of Shinto shrines were attentioned for study site by various kinds of scientific fields. The spatial conception of "Shasoh" was intended for the space of forests only in Shinto shrines. This word was taken the Shintoism into their consideration. The spatial conception of "Chinjyuno-mori" was intended for image for gods or spiritual spaces "Geniusu Loci" in origin, and then intended for the valuable site for ecological and botanical study as space of native forest. The spatial conception of "Shaji-rin" was used by political stance at first, and then it was intended for the spaces involved in politics of forests and fields. This word wasn't distinguished between the space and image of Shinto shrine and Buddhism temple.
著者
藤田 直子
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.193-251, 2006

本論文は,2006 年に東京大学に提出した学位論文の前半部分であり,後半における現状の実態分析及び評価のための概念整理と位置づけることができる。本研究の立脚点は「緑地」という視点を通して時間的な軸と空間的な軸から社叢空間を捉えようとするところにある。本論文は五章で構成されており,各章は以下の通りに位置づけられる。第1章においては,本研究の背景と目的ならびに位置づけを明らかにした。まず,問題の所在,本研究に反映させる問題意識を述べ,関連する研究の流れや位置づけを通覧し,それぞれの研究のアプローチ及び方法論を整理することによって,本研究の位置づけを試み,その目的及び方法を明らかにした。設定した本研究の目的は,社叢を緑地という視点で評価することの意義と妥当性を明らかにすることとし,具体的には①空間に対する認識の変遷を「自然」との位置づけの関係から分析することで,日本人の自然に対する空間概念形成を明らかにすること②“神社の屋外空間”を指して用いられる「社叢」「鎮守の森」「社寺林」といった類義語を比較して各々の言葉の意味や意義を分析することにより,同一の空間に対して複数の言葉が用いられる原因とその背景にある意図を明らかにし,神社のオープンスペースに対する緑地の空間概念の差異と特徴を明らかにすること③法の成立・運用における「社叢」の概念及び位置づけを明らかにすることにより,“神社の屋外空間”と“社叢”の空間概念を明確にすること以上の3点を研究目的とした。第2章においては,文献資料調査によって自然・神道・社寺など社叢に関連する歴史や事象及び語彙を明らかにし,本研究において『社叢』を対象とする意図を明らかにした。まず,自然に対する神道の空間認識と日本人の自然に対する空間概念との関係を明らかにするために,分析対象記事(該当記事4,159)を文献(該当文献555)から選出し,神道の空間認識における「自然」の位置づけの変遷や日本人の自然に対する空間の認識の関連を言葉の解釈の変遷や西欧との比較を踏まえて分析した。その結果,日本における自然の概念と神道の精神や空間認識は通じるものが多く,自然に対する神道の空間認識が日本人の自然に対する空間概念の形成に関与していたことが明らかになった。第3章においては,“神社の屋外空間”を指して用いられる類義語に対し,語彙自体の使用の変遷を明らかにするための書籍・論文出現頻度に関する分析と語彙が想定する対象を広く収集分析する語彙の概念に関する分析を組み合わせることによって,量的側面と質的側面の双方から実態を明らかにし,神社のオープンスペースに対する緑地の空間概念の差異と特徴を明らかにした。その結果,数値分析処理による包括的な傾向として「社叢」「鎮守」「社寺」と「森」や「林」といった語が組み合わされる傾向が強まったのは1970 年代中盤以降であり,この時期を契機として“神社の屋外空間”を「緑」の空間として認識しようとする見方が形成された事が示唆された。また,「鎮守の森」や「社寺林」が,元々“聖なる場”や“神社や寺院”などの意味をもつ「ある空間」に対して自然や緑地といった概念を加えることで成立してきた空間概念であるのに対し,「社叢」は元来からそれ自体に自然や緑地といった概念を含む空間概念であることが分かった。また,各々の言葉が対象とする空間概念の範囲に関しては,「社叢」が指し示す空間概念には神社境内内森林の生物生息空間,特に植物生態学的側面に着目するという空間概念が強いこと,「鎮守の森」が指し示す空間概念には古来から地霊をまつる聖なる空間やその神に対して用いられてきた語が生態学的研究対象として地域の本来の潜在自然植生が顕在化している場所として着目されたことなどにより,神社の空間のみならず精神的・文化的な拠り所という広範囲な解釈として捉えられている空間概念が強いこと,「社寺林」が指し示す空間概念には明治期の土地政策・林野政策の中での位置付けに対して用いられた歴史を経て,機能面や制度に着目した場合や現物の空間を表現する場合の対象となる空間に対して求められた空間概念が強いことが示された。第4章においては,「社叢」という言葉の意味や使用されてきた意義を明らかにするために,雑誌史蹟名勝天然紀念物における全記事中,社叢・神社・社寺・及び関連記事を選出して分析対象とし,史蹟名勝天然紀念物保存法の成立・運用の過程における社叢というものの位置づけや,社叢という言葉の使われ方の変遷を分析した。その結果,「社叢」が史蹟名勝天然紀念物保存法の要目の筆頭に採用されたのは,単に植物学・生態学上優れた森林としてのみならず,社叢を複合された価値を有する場として保存していく必要があるという意識と,当時巻き起こった神社合祀令への反対とが相まった結果であることが明らかになった。更には,その後時代を経るにつれ「社叢」という言葉に含まれる意味は変化してゆき,それに対する複合的な意味合いは消え忘れられ,次第に原始林に準ずる森林かつ神社に所属するものを「社叢」として指すようになったことが明らかになった。第5章では,第2章から第4章の結果をまとめるとともに本研究の結論を述べた。以上の研究から本論文では,神社の屋外空間に対する空間概念を明確化しその空間を表現するに相応しい語彙が示されたことで,意味的側面から神社の空間を緑地という視点で評価することの意義と妥当性を明らかにした。なお次報においては,都市における社叢の実態を明らかにするために,東京都区部を対象にマクロ・メソ・ミクロの異なる3つの空間スケールを設定し,現地調査と数値情報をもとにGIS を用いて定量的に都市の社叢を分析した研究結果を著すると共に,本研究における結論を述べる。
著者
伊藤 俊彦 橋爪 克己 藤田 直子
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

A. luchuensisが生成するグルコアミラーゼは、生デンプン結合ドメインを有するグルコアミラーゼの働きにより超高アミロース米を消化することを明らかにした。また、難消化性米を原料米とし、A. oryzaeで作成した麹は超高アミロース米を消化することを明らかにした。さらに、A. oryzaeが生成する難消化性デンプン分解酵素は、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼであることを明らかにした。しかし、グルコアミラーゼはpIの異なる3種の酵素が見出されており、これらの詳細な検討は今後の課題である。
著者
安東 竜一 影嶋 富美 高田 正保 中村 保典 藤田 直子
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.168-174, 2015

米澱粉における変異遺伝子と澱粉の利用特性との相関を解明することを目的として,既報のモチ性変異体米系統に続き,澱粉生合成関連アイソザイム(スターチシンターゼIIIa(SSIIIa),SSIVb,枝作り酵素IIb(BEIIb))が欠損したウルチ性変異体米系統(<i>ss3a</i>, <i>be2b</i>, <i>ss3a</i>/<i>ss4b</i>, <i>ss3a</i>/<i>be2b</i>)から得た澱粉の食品への利用特性について分析し,ウルチ性の野生型である日本晴と比較した。日本晴≪<i>be2b</i><<i>ss3a</i>≪<i>ss3a</i>/<i>ss4b</i>≒<i>ss3a</i>/<i>be2b</i>の順で糊化・膨潤し難い物性を示し,特に二重変異による糊化・膨潤の抑制が顕著であった。be2bの消化率は,未糊化状態では48.4%と難消化性を示したが,糊化状態では日本晴と同等であった。鶏唐揚げ衣への利用適性評価では,日本晴と比較して,変異体米澱粉の食感は調理直後では好ましかったものの,保存後では劣る傾向にあった。しかしながら,澱粉にまで精製せずに,米粉として用いることで,二重変異体米において保存後の食感が改善された。
著者
藤田 直子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.400-407, 2013-06-01 (Released:2014-06-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2 4
著者
安東 竜一 影嶋 富美 高口 均 奥田 茜 藤村 岳史 相沢 健太 高木 洋平 高田 正保 中村 保典 藤田 直子
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.213-221, 2013
参考文献数
14
被引用文献数
3

米澱粉における変異遺伝子と澱粉の利用特性との相関を解明することを目的として,結合型スターチシンターゼI (GBSSI) に加えて他の澱粉生合成関連アイソザイム(スターチシンターゼI (SSI) ,SSIIIa,枝作り酵素I (BEI)) が同時に欠損あるいは活性が低下したモチ性変異体米系統 (ssl<sup>L</sup>/gbssl,ss3a/gbssl,bel/gbssl) の澱粉の食品への利用特性について分析し,GBSSIのみ欠損した変異体 (gbssl) と比較した。ssl<sup>L</sup>/gbsslは粘度上昇温度が上昇したが,ピーク粘度は低下した。ss3a/gbsslは平均粒径が小さくなり,粘度上昇温度が低下し,ピーク粘度が低下した。bel/gbsslはピーク粘度が上昇した。ssl<sup>L</sup>/gbsslとbel/gbsslでは加熱膨潤度が増加した。ss3a/gbsslとbel/gbsslではアセチル化アジピン酸架橋を施した後に吸水率が増加した。団子のタレによる利用評価では,ss3a/gbsslが保形性と口溶けのバランスに優れて良好な利用適性を示したものの,酸性フルーツソースでは澱粉粒の崩壊が促進され,保形性が大きく低下した。アセチル化アジピン酸架橋を施したモチ性変異体米澱粉では,酸性条件下での澱粉粒の崩壊が適度に抑制され,タレ・ソース用途において,保形性と口溶けの向上を両立させることができた。
著者
藤田 直子 吉田 真由美 斎藤 かほり 宮尾 安藝雄 廣近 洋彦 中村 保典
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.110, 2005

イネのスターチシンターゼ(SS)には10種類ものアイソザイムが存在する。このうち、機能が解明されているのはアミロース合成に関わるGBSSI、我々がTos17ノックアウトイネから変異体を単離したSSIおよびインディカ米、ジャポニカ米のアミロペクチンの構造比較から明らかになったSSIIaのみである。トウモロコシでは登熟胚乳中の最も活性が高いSSはSSIとSSIIIである。SSIIIの変異体である<I>dull-1</I>が古くから知られていたが、イネにおいてはトウモロコシの<I>dull-1</I>に相当する変異体が見つかっておらず、その機能は解明されていない。我々は、イネSSI変異体の単離に引き続き、同じノックアウト集団(約4万系統)からSSIIIa変異体を選抜し、その解析を行った。<br> 得られたSSIIIa変異体は、Tos17がエキソン1に挿入されたものであった。登熟胚乳の可溶性画分のNative-PAGE/SS活性染色を行うと、SSIバンドに加えて非常に移動度の遅い部分にバンドが検出される。SSIIIa変異体ではこのバンドが完全に欠失していたことから、これがイネにおけるSSIIIaバンドであることがわかった。SSIIIa変異体の胚乳アミロペクチンは、野生型に比べて、DP6-8, 17-18, 31-70が低下し、DP10-15, 20-29が増加していた。イネにおけるSSIIIaの機能について、議論する。
著者
岩崎 亘典 藤田 直子 SPRAGUE David 寺元 郁博 山口 欧志 小野原 彩香
出版者
国立研究開発法人 農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、明治時代初期に作成された迅速測図を元に、高解像度・高位置精度のラスタデータを作成するとともに、このデータを元に100mグリッドでの明治時代初期土地利用データベースを構築、公開した。次に、視図,断面図などの図郭外図についてデジタル化と位置の特定を行い、KML形式とCesiumを使ったWebページで公開した。視図が描かれた地点のうち、27地点において高解像度パノラマ写真を撮影し、現在の景観と比較が可能なデータベースを構築、公開した。さらに、国土数値情報との比較により過去130年間の土地地利用・被覆変化を類型化した。これらのコンテンツはライセンスは、CC BY 4.0 国際とした。
著者
藤田 直子
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.117, pp.21-64, 2007-06

本論文は、2006年に東京大学に提出した学位論文の後半部分であり、前半における自然に対する神道の空間認識と日本人の自然に対する空間概念形成の整理に続く、都市における神社や社叢の緑地としての現状の実態分析及びその評価と位置づけることができる。本研究の立脚点は「緑地」という視点を通して時間的な軸と空間的な軸から社叢空間を捉えようとするところにある。
著者
阿久澤 さゆり 藤田 直子 早川 文代
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本晴を親にして、澱粉合成酵素の働きを抑えて特性を変化させた変異体米(SSIIIa)を作出し、その米の精白米と分離した米澱粉の特性を検討した。その結果SSIIIa の精白米は、日本晴と近似していたが、炊飯によって縦に長くなる形状で、粘らずもろい特性を示した。これらの特徴は、澱粉中のアミロペクチンの構造変化によるもので、国内産米の利用の拡大につながると期待された。