著者
鷲塚 隆 池主 雅臣 広野 崇 杉浦 広隆 小村 悟 渡部 裕 保坂 幸男 太刀川 仁 田邊 靖貴 古嶋 博司 藤田 聡 岡村 和気 和泉 大輔 小玉 誠 相澤 義房
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.87-93, 2005-01-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

【背景】拡張相肥大型心筋症 (DHCM) に伴う持続性心室頻拍 (VT) 例の臨床象について検討を行い報告する.【対象】DHCMに伴う持続性心室性不整脈例5例 (平均年齢60±9歳, 男性5例) .DHCMの定義はHCMから進行性に左室駆出率50%未満に低下した症例とした.【結果】左室拡張終期径 (6.1±0.7cm) は拡大し, 左室駆出率は0.36±0.09と低下していた, 安静時心電図上の胸部誘導V50rV6での最大R波高は1.1±0.4mVと減高していた, いずれの症例もDHCMに移行後初めて持続性VTが記録された.臨床的には5例とも単形性持続性VTであり, 計7波形が認められたが, 心臓電気生理検査 (EPS) では3例で誘発されず, 誘発された2例では多形性VTが誘発された, 全例で植込み型除細動器 (ICD) 植込みを行い, うち3例では経過中, 単形性心室頻拍に対してICD作動を認めた.【結語】VTは, 拡張相に移行後初めて出現し, 全例単形性VT例であった.しかし, EPSでの評価が困難であることは通常のHCM例と類似し, 二次予防にはICD治療が第一選択と考えられた.