著者
保木井 啓史
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.261-272, 2015

本研究の目的は,幼児の協同的な活動の成立過程を,幼児の日頃の関係性の点から明らかにすることであった。研究方法として,幼稚園5歳児クラスの保育場面を,Ripleyらが提唱した「メンターシップ」の視点から質的に分析した。その結果,次のことが明らかになった。第1に,協同的な活動への参加は,日頃の遊びでの決まったメンバーである「仲良しグループ」を単位としてなされていた。第2に,幼児同士の目的の共有がなされない場合にも,「仲良しグループ」を単位とした活動は,他児への関心によって図らずも「協同的」になっていた。第3に,「気楽な雰囲気」が,仲良しグループを単位とした協同的な活動を継続させていた。