著者
小阪 崇幸 米持 康寛 幸崎 弥之助 田北 智裕 俵 哲
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.295-300, 2013-07-25 (Released:2013-07-25)
参考文献数
17

要旨:症例は38歳,女性.既往に過多月経を伴う月経困難症,前兆のない片頭痛あり.LEP(low dose estrogen progestin)製剤内服10日後より頭痛が出現.他院にて片頭痛と診断され,トリプタン製剤にて加療される一方,LEP製剤の内服は継続された.LEP製剤内服22日後,頭部MRIにて出血性脳梗塞を認め,当院に救急搬送された.脳静脈血栓症(CVT)と診断し,抗凝固療法にて加療.後遺症として軽度の純粋失読が残存したが,頭痛は消失し独歩退院.CVTの一因として経口避妊薬が知られている.本症例では月経困難症に対する治療目的のLEP製剤内服に加え,過多月経に伴う重度貧血を合併していた.近年LEP製剤は月経困難症に対し保険適用となったことで急速に普及しており,頭痛が認められた場合にはCVT発症の可能性を念頭に適切な対応が必要と考えられた.