著者
倉持 元
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.491-497, 1989

維持血液透析患者における高P血症, 低Ca血症, 代謝性アシドーシスおよび骨代謝に対する炭酸力ルシウム (CaCO<sub>3</sub>) の有効性を調べるために, その投与量と各種血液学的パラメーターおよび骨塩量との関係を検討した. 高P血症および低Ca血症を認めた維持血液透析患者4人 (男2人, 女2人。年齢46-72歳。透析期間 48-133か月) において, CaCO<sub>3</sub> 1.0g/日, 3.0g/日, 5.0g/日を各々連続して6か月間ずつ投与し, Ca, P, ALP, PTH, カルシトニン, BUN, クレアチニン, Mg, PH, HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>を定期的に測定した. また骨塩量はmicrodensitometry法にて測定した. 透析は重曹透析を施行し, 透析液のCa濃度は3.5mEq/<i>l</i>であった.<br>Caに関しては, 2例で増加したが1例は減少した. Pに関しては, 3例にて投与量依存的に減少した. Ca・P積, ALPは3例で投与量依存的に減少した, PTHに関しては, 1例は減少したが1例は増加した. カルシトニンは3例において増加したが, 全例5.0g/日投与6か月後に減少した. BUN, クレアチニンは2例で増加した. Mgは2例で増加した. PH, HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>に関しては2例で不変であったが, 他の2例は減少しアルカリ化作用は認められなかった. また骨塩量に関しては, MCIは1例で投与量依存的な増加を認めたが, GSmin, S. GS/D, F・GSは全例において減少を認め, 総合的には骨代謝の改善は認められなかった. また血圧も投与期間中変化なく, さらに臨床的および生化学的副作用は全例とも全投与期間を通して認められなかった. 以上よりCaCO<sub>3</sub>のP吸着作用は投与量依存的であり, 高P血症に対しては5.0g/日以下でも十分に有効であると思われたが, 低Ca血症, 代謝性アシドーシスおよび骨代謝の改善には, さらに大量の投与が必要と考えられ, その至適投与量については更に検討すべき事と考えられた.
著者
小川 拓也 倉持 元陽 山本 昇志
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.139-142, 2011-02-12

本稿では,光学的整合を必要とする複合現実において,既知物体が作る影の情報から光源位置を推定する手法を提案する.正確な光学的整合の実現には,鏡面球に映り込む画像を取得することにより周囲環境の光源位置を推定する手法が多く行われている.しかし,鏡面球には様々な物体が映り込むため,光源位置のみを正確に推定することは難しい.そこで提案手法では,正方形マーカを固定する4隅の押しピンが作る影を利用し,その重心座標と影の形状から光源位置を正確に推定する手法を検討した.再現実験の結果,推定した光源位置情報を元に生成した仮想物体の影が実際の影とほぼ一致することが確認できた.