著者
辻本 石雄 元治 信雄
出版者
The Textile Machinery Society of Japan
雑誌
繊維機械學會誌 (ISSN:18838715)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.250-256, 1954

研究目的無緊張状態のアミランを各種温度について乾熱処埋後水中急冷, 空中放冷, 炉中徐冷の冷却速度の変化による基礎的繊維の挙動を明確にし, 使用目的に適した熱処理加工条件を選択するにある.研究結果本実験の範囲内において次の諸事項が考察された1 熱処理後の負荷による流伸試料において処理温度上昇と共に粘弾性伸長は漸次大きく, 高偏ては若干減少傾向を示し, 且つ除荷の際の伸長回復率はほほ処理温度上昇と共に漸次減少し, 冷却速度による影響は粘弾性伸長においては速度大なる程大きく, 伸長回復率においてはその逆現象を示す.2.熱収縮率は処理温度上昇と共に漸増的傾向を示し, 高温ては若干急激な収縮を示し, 水冷>室冷>炉冷となる.3 破壊強度は処理温度上昇と共に未熱処理の場合より強く, 高温ては急激な滅少傾向を示すか.破壊伸度においても大きくなり, 冷却速度が遅い程両者とも大きい.4 処理温度40~60℃及び160℃附近において性能変化に特異現象を示し, それぞれの温度域において一つの転移域を示す5 X線による繊維構造は熱処理により結晶化乃至無定形化状態を示し, 吸湿性は結晶配列度のみては説明されないようてある.