著者
児玉 親亮 藤吉 邦洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.1-15, 2007-01-01

アナログIC設計等で見られる,モジュール上の配線を許さずにモジュール間にて配線を行う設計状況下においては,モジュール配置に対応する方形分割(フロアプラン)の分割線を配線資源領域と見立てることができる.しかし分割線数が多いと配線折れ曲がりが増え,配線長やタイミングの見積りに悪影響を及ぼすと考えられる.最近,与えられたモジュール配置に基づき,かつできるだけ分割線数の少ない方形分割を得る方法が提案された.この方法は分割線数をできるだけ減らすために,「分割線数が部屋数よりちようど3多い」という方形分割の性質に着目し,「相対位置関係を保つために生じてしまうが配置を表すのには不要な空部屋」を分割線を融合することでできるだけ少なくする.しかし,この方法は平面幾何的な図形操作からなるため,このままでは計算機実装が大変難しい.そこで本論文では,この空部屋消去操作の根底にある理論を明らかにし,モジュールの相対位置関係を表現するsequence-pairを用いることで,与えられたモジュール配置から図形操作を行うことなく,その配置に基づき,かつ空部屋数の少ない方形分割に対応するsequence-pairを得る方法を提案する.また,提案手法を計算機実装し,その有効性と高速性を確認する.