著者
桜庭 拓也 二瓶 泰雄 倉上 由貴 入江 美月
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1297-I_1302, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
9

本研究では,2016年熊本地震とその後の洪水(熊本県木山川)による複合災害の実態や洪水氾濫メカニズムの検討を行うことを目的とする.具体的には,(1)木山川を含む緑川水系における地震時の堤防被害調査,(2)6月20日豪雨による木山川の堤防被害・洪水氾濫調査,という二つの現地調査を実施した.その結果,2016年熊本地震では,堤防の天端・表のり面の縦・横断亀裂や天端沈下が秋津川や木山川のような県管理区間でも広範囲に生じていた.木山川では,地震による天端沈下(10cm程度)と豪雨による堤防決壊・洪水氾濫が生じるという複合災害が発生した.そこでは,沈下対策に設置された土嚢上の越流に加えて,土嚢直下のパイピングによる土嚢の不安定化が決壊を助長した可能性が示唆された.
著者
倉上 由貴 二瓶 泰雄 安井 智哉 桜庭 拓也 佐藤 佑太 入江 美月
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1261-I_1266, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

河川堤防における地震・洪水の複合災害の実態解明やその技術開発を行うべく新たに導入した地震・洪水複合災害用水路を用いて,加振・浸透実験を行い,浸透条件下の河川堤防の耐震性や浸透対策工の耐震効果を検討した.まず,基礎地盤のみ浸潤させたケースと表のり面に河川水として一定水位与えたケースでの加振実験を行い比較したところ,表のり面の河川水が押え盛土のような効果を発揮し,基礎地盤のみ浸潤させたケースよりもはらみだしや沈下を抑制した.また,堤体の変形が生じるとともに過剰間隙水圧の値も上昇することが分かった.裏のり面薄層ドレーン工では,ドレーン工が過剰間隙水圧を消散し,天端沈下を抑制し,浸潤面低下のみならず加振時の過剰間隙水圧上昇を抑制していることが明らかとなった.