著者
金子 真 二瓶 泰雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_1591-I_1596, 2012 (Released:2013-03-26)
参考文献数
10
被引用文献数
2

Tidal urban rivers have severe environmental problems like massive fish death which was mainly caused by formation of hypoxic water mass. However there was little information on DO environments in large tidal rivers. To investigate DO environments in tidal rivers and its relation to floodings which are closely related to CSO(Combined sewer overflow) impacts, we conducted field measurements on water-quality environments in the Sumidagawa and Kandagawa Rivers, Japan. The result indicates that massive fish death in tidal reach of small urban rivers appeared frequently just after flooding events in summer seasons. The measured results reveal that DO on Sep. 9, 2010 were lower than 2 mg/ L in overall region of Sumidagawa River due to the flooding event. These facts indicate that inflows of CSO due to flooding events have an important influence on reduction of DO concentration in the Sumidagawa River.
著者
工藤 功貴 片岡 智哉 二瓶 泰雄 日向 博文 島崎 穂波 馬場 大樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1225-I_1230, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

近年,直径5mm以下の微細プラスチック片(microplastics,以下MP)による環境影響が懸念されている.海洋では多くの調査・研究が行われているが,河川での調査例は少なく,調査手法も統一されていない.現地観測を行う際,プラスチック製用具の使用や周辺環境中のプラスチックとの接触による予期せぬプラスチック混入はMP採取量の誤差要因となるため,プラスチック混入への十分な配慮が必要となる.そこでまずMP調査手法に関して基礎的検討を行った.検討結果を踏まえ,これまで国内18河川で実施したMP調査の結果を整理した.得られたMP数密度(0.0064~2.5 個/m3)は日本近海(0.6~4.2 個/m3)13)より1オーダー小さく,地点毎に材質構成に違いが見られた.サイズは2mm以下がほとんどであった.
著者
桜庭 拓也 二瓶 泰雄 倉上 由貴 入江 美月
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1297-I_1302, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
9

本研究では,2016年熊本地震とその後の洪水(熊本県木山川)による複合災害の実態や洪水氾濫メカニズムの検討を行うことを目的とする.具体的には,(1)木山川を含む緑川水系における地震時の堤防被害調査,(2)6月20日豪雨による木山川の堤防被害・洪水氾濫調査,という二つの現地調査を実施した.その結果,2016年熊本地震では,堤防の天端・表のり面の縦・横断亀裂や天端沈下が秋津川や木山川のような県管理区間でも広範囲に生じていた.木山川では,地震による天端沈下(10cm程度)と豪雨による堤防決壊・洪水氾濫が生じるという複合災害が発生した.そこでは,沈下対策に設置された土嚢上の越流に加えて,土嚢直下のパイピングによる土嚢の不安定化が決壊を助長した可能性が示唆された.
著者
塩田 彩夏 二瓶 泰雄 遠藤 亮之輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1699-I_1704, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
20

Although previous studies pointed healing effects from waterfront, quantitative evaluations and factor of healing effects were still unknown. To evaluate quantitatively healing effects from river and coast and its associated factors, in this study, we measured simultaneously psychological stress and sound and thermal environments at six sites in which the measuring points were selected near waterfront and urban area in its neighborhood. The measured results indicated that 1) the measured values of salivary amylase activity, one of useful stress markers, in several waterfronts were appreciably lower than those in urban area, and 2) the healing effects in waterfronts were closely related to sound and thermal environments.
著者
二瓶 泰雄 片岡 智哉
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.309-316, 2018-07-31 (Released:2019-07-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本報では,海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックの発生源と考えられる陸域・河川ごみの動態を示すために,多くの現地調査事例に基づいて,河川におけるごみ (川ごみ) の輸送状況やごみ組成を示すとともに,日本の河川におけるマイクロプラスチック汚染状況の実態を取りまとめた。その結果,川ごみは出水時に大量に輸送され,川ごみ全体の 6 %がプラスチック等の人工系ごみであった。マイクロプラスチックに関しては,全 23 河川で発見されたこと,流域の市街化が進んでいる河川のほうがマイクロプラスチック汚染が進んでいることも示された。さらに,海洋プラスチックごみおよびマイクロプラスチック対策としての河川におけるごみ捕捉技術の可能性について言及した。
著者
小林 俊介 片岡 智哉 宮本 颯太 二瓶 泰雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_439-I_444, 2019 (Released:2020-11-16)
参考文献数
18

本研究では,河川水中の5mm以下の微細なプラスチック片(microplastics,MP)の輸送特性を明らかにするために,平常時に江戸川野田橋で現地観測を行い,MP濃度鉛直分布を調べるとともに,採取されたMPを用いた室内実験を行うことでMPの上昇(沈降)速度を調べた.河川におけるMP濃度の鉛直分布には,水表面と底面付近にピークがあり,水表面(底面)には比重が1以下(1以上)のMPが比較的多く分布していた.また,MPの沈降速度(平均: 13.5 mm/s)は,上昇速度(平均: 2.68mm/s)よりも大きく,サイズと共に増加していた.従って,河川水中の鉛直混合下であっても,比重の大きなMPが底層に沈降していることが示唆された.
著者
大塚 佳臣 高田 秀重 二瓶 泰雄 亀田 豊 西川 可穂子
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.35-42, 2021 (Released:2021-03-10)
参考文献数
77
被引用文献数
2 4

本稿では, マイクロプラスチック (MP) がもたらす環境影響を概観した上で, 水環境での動態および海域での生態系への影響, ならびにMPの分析手法, 特に, 粒径が小さいMPの分析手法に関する最新の知見を紹介した。陸域・河川におけるMPの状況について, 日本全国の河川でのMPの濃度, 日本の陸域から海洋に排出されるプラスチックの総量を推定した。海域におけるMPの状況について, 東京湾におけるMPの動態, 海洋生物におけるMPの取込・摂食の実態を示した。MPの分析方法について, サンプリング, 前処理, 機器測定の手法及びその課題について整理し, 技術的展望を示した。MPの環境中での動態ならびに生態系への影響を明らかにすることは, 社会システム全体でのプラスチックの適切な利用・管理のための有効かつ効率的な対策を検討する上で不可欠である。本稿で紹介した情報がその一助となることを期待する。
著者
小室 隆 赤松 良久 山口 皓平 プトゥ エディ ヤスティカ 清水 則一 二瓶 泰雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.271-287, 2019 (Released:2019-07-03)
参考文献数
29
被引用文献数
2

平成29年7月5日に発生した九州北部豪雨により,福岡県朝倉市に点在する溜池では決壊や一部決壊が生じた.それらの溜池を対象に災害後に国土地理院によって撮影された空中写真から15箇所の溜池を選び,現地調査を行った.また陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)に搭載されているLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)により観測された災害前後の地表面データを用いて,土砂堆積などにより地表面に変化が生じた溜池の抽出を行った.調査対象とした溜池のうち,5ヶ所の溜池で決壊・一部決壊を確認した.決壊・一部決壊が生じていた溜池以外では,決壊までは到達していないものの,溜池上流部において土砂の流入・堆積を確認した.PALSAR-2によって得られた地表面データを解析したところ,5,000 m2以上の面積の大きい溜池では土砂や流木の堆積による変化を捉えることが出来た.一方,山間地域に築造された小さな溜池では,周囲の斜面勾配による画像の歪みの影響により,必ずしも明確に抽出することができないことが明らかとなった.
著者
倉上 由貴 二瓶 泰雄 安井 智哉 桜庭 拓也 佐藤 佑太 入江 美月
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1261-I_1266, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
17

河川堤防における地震・洪水の複合災害の実態解明やその技術開発を行うべく新たに導入した地震・洪水複合災害用水路を用いて,加振・浸透実験を行い,浸透条件下の河川堤防の耐震性や浸透対策工の耐震効果を検討した.まず,基礎地盤のみ浸潤させたケースと表のり面に河川水として一定水位与えたケースでの加振実験を行い比較したところ,表のり面の河川水が押え盛土のような効果を発揮し,基礎地盤のみ浸潤させたケースよりもはらみだしや沈下を抑制した.また,堤体の変形が生じるとともに過剰間隙水圧の値も上昇することが分かった.裏のり面薄層ドレーン工では,ドレーン工が過剰間隙水圧を消散し,天端沈下を抑制し,浸潤面低下のみならず加振時の過剰間隙水圧上昇を抑制していることが明らかとなった.
著者
二瓶 泰雄 江原 圭介 臼田 美穂 坂井 文子 重田 京助
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1226-1230, 2007 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3

To clarify water quality and pollutant loads in the Edo, Ara and Tama Rivers, we examine the temporal changes of water pollution using monitoring data obtained by local governments and continuous monitoring data for COD. We also evaluate yearly-averaged SS, COD, T-N and T-P fluxes in these rivers by conducting the field measurements under several hydrologic events. The trend analysis for COD continuously monitored in the Edo River indicates that the changes of COD under low flow conditions are not similar to those under flood conditions. The estimated COD, T-N and T-P fluxes in these rivers reveal that non-point sources are comparable to point sources. These facts demonstrate that previous data and analysis methods for pollutant loads into Tokyo Bay should be examined carefully.
著者
二瓶 泰雄 中村 武志 綱島 康雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1121-1125, 2003

沖縄県石垣島吹通川マングローブ水域を対象として, 河口域におけるsill地盤高さに関する長期モニタリングと海水交換特性の基礎となる河口部での流量調査を行った. creek内の水位データを用いてsill地盤高さを長期連続モニタリングした結果, sill地盤高さが数日で約10cm程度急上昇するという現象が生じていること, それに対して台風接近に伴う高波浪来襲や大規模な河川出水が大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった. また, 河口流量と潮位差の関係は, sill地盤高さの考慮の有無により相関関係が大きく異なっており, sill地盤高さが河口流量に対して多大な影響を及ぼしていることが示された.
著者
神谷 大介 赤松 良久 渡邊 学歩 大槻 順朗 二瓶 泰雄 上鶴 翔悟
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_87-I_94, 2014
被引用文献数
1

本論文では近年増加してきている局地的豪雨災害に対し,小規模集落での課題と適切な支援方策を検討するため,2013年に発生した山口・島根豪雨災害における萩市須佐川を対象として,調査・分析を行った.この結果,避難勧告の発令基準は雨量と水位によって規定されているが,実際には水位のみで判断されていた.雨量を基に判断すれば,1時間以上早く避難勧告が発令出来たことを示した.住民は周囲の状況を見て避難を判断しており,膝上以上の水位の中,危険な避難行動を行っていた.安全な避難を促すためには,事前のリスクコミュニケーションと雨量を基にした避難準備情報の発表が必要であることを示した.
著者
古米 弘明 片山 浩之 栗栖 太 春日 郁朗 鯉渕 幸生 高田 秀重 二瓶 泰雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

合流式下水道雨天時越流水(CSO)由来の汚濁負荷が、都市沿岸域における雨天後の水質に及ぼす影響を定量評価し、お台場のような親水空間における健康リスク因子の動態評価手法の開発を試みた。多数の分布型雨水流出解析結果に基づき、降雨パターンの類型化によってCSO発生を大まかに特徴づけることができた。また、ポンプ場や下水処理場からの汚濁負荷を降雨パターンごとに表現できるモデルを構築し、干満の影響を考慮した3次元流動・水質モデルによる大腸菌の挙動予測が可能となった。