著者
全 惠利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.354, pp.25-29, 2013-12-07

国際化により、日本のようなモノリンガル社会でも、多様な言語と背景を持つ多言語話者は状況・聞き手・場面によって言語を使い分けている。特に、感情の言語化やその使い分けは日本語教育においてほとんど扱われていないのにも関わらず、多言語話者は自分の力で日本語と他の言語を使い分けて自分の感情や意志を表現していく。その背景には、日本語ではできない感情の表現や日本語でこそ表せるようになった感情の表現を身につけていくような日本社会における・日本語の習得や言語社会化(Language Socialization)への経験があると考えられる。そこで、本稿では、日本社会における多言語話者炉どのように言語のコードスイッチングを通じて感情を言語化しているか、どのようにして異なる言語を巡る感情の表現ができるようになったのか、をみる。そうすることで、今後日本語教育において、日本社会の多言語話者への感情の表現を指導したり、サポートしたりすることが可能であるか、可能だとしたらどのようなところに力を入れるべきかを考える。