著者
八十田 典克
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.39, pp.127-129, 1999-06-25

1.エーザイの企業目的は「hhcの実現」当社は1941年に創業以来、良い研究をベースに良い製品を次々と生み出し、世界の国々の多くの人々の健康福祉に貢献したいという「高い志」をもって企業経営を行ってきた。国民皆保険制度のもと、製薬業界全体が右肩上がりの成長を遂げていた従来の状況では、この価値観(どちらかというとプロダクト・アウトの発想)は効果的に機能してきた。しかし医療費削減政策等により医薬品産業を取り巻く市場も大きく変化し、この考え方では企業が継続的に社会貢献し続けることは難しい環境となってきた。このような状況のもと、現社長(内藤晴夫)は就任直後の1989年に、よりマーケット・インの発想で新たな企業ビジョンを提示した。新たな目指す企業像(ビジョン)は「いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒュマンヘルスケア(hhc)企業」になることであり、企業理念(ミッション)は「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考えこのベネフィット向上を第一義とし世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」ことである。つまり私達の顧客(主役)は「世界の患者様と生活者の皆様」とし、その方々へのベネフィット向上を図ることが企業の目的(=hhc)と考えている。この"hhc"という3文字に実現したい「夢・思い・志」を込めて、企業活動を行っている。より具体的に言うと「よき素材を探索し、一日も早く薬と成し、世界の患者様に安全にお届けする」ということである。