- 著者
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原 温子
八島 典子
- 出版者
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
- 雑誌
- 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.2, pp.86-90, 2018-06-25 (Released:2018-06-29)
- 参考文献数
- 7
三叉神経第1枝(V1)領域の帯状疱疹は眼症状(角膜炎,虹彩毛様体炎,強膜炎など)を伴うことが多い.しかし,複視を呈する眼球運動障害はまれな合併症である.今回われわれは,外転神経麻痺を合併した帯状疱疹を経験したので報告する.症例は52歳,男性.右V1領域に水疱が出現し,皮膚科で帯状疱疹と診断.ファムシクロビル,プレドニゾロン,ロキソプロフェン,プレガバリンが投与された.2週間後,複視を自覚したため,脳MRIを施行したが,脳内に異常はなかった.ステロイドはいったん増量後3週間で漸減中止した.1カ月で皮膚症状は軽快したが,複視の回復がないため当科受診となった.初診時,右方視時に右眼の外転障害を認め,眼科検査でも右外転神経麻痺が考えられた.星状神経節ブロック(SGB)を開始し,麻痺は徐々に改善した.V1領域帯状疱疹による眼球運動障害の機序として,ウイルスによる神経炎や血管炎によるもの,三叉神経炎に伴う腫脹による上眼窩裂での神経圧迫などが考えられている.治療は抗ウイルス薬,ステロイド投与に加えてSGBの有効性も報告されている.V1領域帯状疱疹においては経過中の眼球運動にも注意深い観察が必要である.