著者
小柳 彌 八幡 敏雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木研究 (ISSN:18847218)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.308-313, 1953

この調査を通じ<BR>1. 旱天(若干のにわか雨の日を含む)がつづいて河川流量が減少すると, 外海の潮位は大差なくとも, 濃度の濃い監水がだんだん上流に遡上すること。(表5, 表6)<BR>2. 上流にゆくに從つて満干の起時が, 河口よりもおくれること。<BR>3. すべてその地點の満潮の頃に, 監分温度の最大が起ること。<BR>4. 監分濃度の垂直分布から, あげ潮の時でも常に明瞭な楔形がみられるとは限らないこと。<BR>5. 感潮部の流量は同一水位であつても, 引き潮にかかる時とあげ潮にかかる時とによつて, 相當變化するのではないか。從つて感潮部におて流量を測定することは, 時間を極く短く制限しないと危險であること。等がわかつた。<BR>尚調査の結果から次のことが云えると思う。<BR>1. 表6にみるように七取地先に水源を求めることは監分濃度が水稻の枯死限界に近くなることからみて危險と考えられる。<BR>2. 7月雨量の多かつた1951年でさえ今尾橋流量は, 毎秒0數トンにすぎない。(30日の觀測値を除くとしても)<BR>3. 從つて傳えられる如く毎秒7~8トンの水をこの中から汲みあげることは更に監分の遡上をうながし, 盆々危險性をはらむものと想像される。