著者
八幡 英子 伊福部 達
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.309-315, 1989-10-25 (Released:2010-06-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

電気人工喉頭音声の不自然性を改善するために, 音声のゆらぎが自然性にどのように寄与するかを調べた.その結果, ピッチパターンについては, 発声直後のピッチ周波数の変化速度が0.45Hz/msec, 上昇時間は60msec程度が最適であることがわかった.また, 定常部ではピッチを直線的に減少させると自然性が高くなるという評価が得られた.さらに, 音声の自然性には, 波形のゆらぎが大きく寄与していることがわかった.これらの結果に基づき, 自然性を高めるようなピッチパターンが付与された電気人工喉頭を試作した.とれには, ピッチパターン設定の他に使用者が任意にピッチ周波数を制御する機能が付いている.本装置を使用して単語発声中にピッチ周波数を制御することにより正常音声に近い抑揚を付けることができた.