著者
渥美 聡孝:筆頭著者 八木 仁史 木内 祐二
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.175-183, 2011-12

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、地震後に発生した津波によって東北地方沿岸部に多大な被害をもたらした。昭和大学では、岩手県下閉伊郡山田町に3月15日~4月16日までの計33日間、医療救援隊を派遣し、活動期間内にのべ約3,000人の診療を行った。また、避難所の衛生管理も行うことで被災者の健康管理に寄与することができた。薬剤師は主に医薬品の管理・調剤と往診時の薬の選択(代替薬や新規処方)と患者情報の収集を行い、さらにはバイタルサインの測定など、患者データも自ら収集した。往診時には、医薬品バックを自作し、持ち運ぶ医薬品として必要最小限の薬を選ぶことに最も苦心した。調剤以外に薬剤師の職能を活かす場としては、公衆衛生の管理があり、実際に薬剤師達は感染症を防ぐために手洗い・うがいなどの励行、避難所のトイレ掃除を行った。普段の業務と同様、緊急時にも薬剤師の活動の場は多数あり、チーム医療の中で無くてはならない存在だということを実感した。薬学生が今後、チーム医療の一員として活躍するためにも、教職員は学生に対して他職種とのコミュニケーション能力を重点的に育成し、医療系の知識・技能においては卒後教育を含めて取り組んでいく必要がある。(著者抄録)