著者
石川 文博 石野 敬子 木内 祐二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.425-429, 2022 (Released:2022-05-01)
参考文献数
3

新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国武漢で確認されて以降世界中で感染が拡大している。この感染症の初期症状は一般的な感冒やインフルエンザなどと酷似しているため、臨床症状だけではこれらと区別することは困難であり、現在では主に抗原検査やPCR検査によって臨床診断が行われている。本稿では新型コロナウイルスのPCR検査について概説し、さらに大学に設置したPCRセンターの特徴とそのメリットについて紹介したい。
著者
篠原 久仁子 笠原 真奈美 飯嶋 秀郎 小沼 真由美 木内 祐二 亀井 美和子
出版者
一般社団法人 日本くすりと糖尿病学会
雑誌
くすりと糖尿病 (ISSN:21876967)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.66-75, 2013-06-15 (Released:2014-08-06)
参考文献数
31

糖尿病治療の地域連携に薬局も参画し療養支援に取り組むために,医療機関と薬局の連携をはかり,積極的に糖尿病療養支援を実践することで得られる効果を評価した.研究デザインは,対照群を置いた前向き介入研究とし,対照群には通常どおりの服薬指導,介入群には通常の服薬指導に加え,患者の自己管理能力を高める療養指導を行った.連携と情報共有には,糖尿病連携手帳とお薬手帳を活用し,医療機関での診察・指導後に,薬局で療養に関する理解度を確認し,理解不十分な点について薬局で療養支援を行なった.研究期間は8 ヶ月間とし,評価項目は,薬および治療に対する理解度,QOL(SF-8),HbA1cとした.その結果,健康食品と薬との相互作用,糖尿病型,フットケアの理解度が介入群において有意に向上した.QOLの評価では「全体的健康感」が介入群において有意に改善した.介入群のHbA1cは,6 ヶ月後に0.6 %の低下となり,対照群に比べて有意な低下が認められ,8 ヶ月後も再上昇することなく維持された(p =0.016).医療機関と薬局とが,糖尿病連携手帳やお薬手帳を活用して情報共有・連携して行なう療養支援は,薬および治療に対する理解度の向上及びHbA1cの改善に有効であると考えられた.
著者
木内 祐二
出版者
日本医療薬学会
雑誌
日本医療薬学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, 2004-09-01

医薬分業が進展し、病院、薬局ともに患者への服薬指導が重要な業務となった現在、患者とのコミュニケーションは薬剤師に最も必要とされる能力の一つであろう。従来、大学ではコミュニケーションの学習は殆ど実施されておらず、実務の現場においてもコミュニケーションの教育や研修は必ずしも標準化されていない。また、医療の中心は言うまでもなく患者であるにもかかわらず、薬剤師側の視点のみで患者とのコミュニケーションが指導されることも多い。このように、多くの薬剤師は自らの経験や先輩薬剤師の経験に基づいてコミュニケーション能力を身に付けてきたため、得られた能力は個人の経験や資質に依存して個人差も大きく、患者にとっては適切と言えないような対応も時に見受けられる。医学部では患者が求めるコミュニケーション能力の習得のために、数年前から臨床実習前に標準化された医療面接のロールプレーの試験(OSCE)が取り入れられ、近々、必修化される。本ワークショップでは、OSCEなどで患者の立場から医療人教育に参加されている模擬患者(SP)さんとの服薬指導ロールプレーを参加者の代表が体験し、患者にとって望ましい医療コミュニケーションはどのようなものかを参加者全員で討議する。薬局と病棟での3つの場面設定における服薬指導のロールプレーとSPさんからのフィードバックを体験あるいは見学・評価する。この参加型のワークショップが、より良い医療を求める患者の思いを知る機会となることを期待している。
著者
内藤 結花 石井 正和 川名 慶治 坂入 由貴 清水 俊一 木内 祐二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.735-740, 2009-06-01 (Released:2009-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 8

Pharmacists in a community pharmacy may recommend an over-the-counter (OTC) drug to patients with headache. However, it is not clear how pharmacists should distinguish the symptoms of patients and facilitate appropriate self-medication. Here, we investigated the role of pharmacists in a community pharmacy in recommending OTC drugs for self-medication by patients with headache and elucidated their future needs using a questionnaire intended for doctors and pharmacists. More than half of the pharmacists surveyed did not have any experience with recommending OTC drugs for patients with headache. To distinguish between patients for whom pharmacists should “recommend OTC drugs” and patients who should be encouraged “to consult a hospital or clinic,” doctors thought that pharmacists should use an “assistance tool to diagnosis headache, such as a screener for migraine” and “guidelines for chronic headache.” However, few pharmacists used these tools. About 68% of doctors indicated that it would be “meaningful” for pharmacists to distinguish patients with headache. Moreover, both doctors and pharmacists thought that pharmacists should provide patients not only with “instruction on the use of drugs” but also suggest “when to consult a hospital or clinic.” However, 32% of doctors indicated that it is “meaningless” for pharmacists to attempt to distinguish patients with headache and expressed concern about the increase of patients who overuse headache medication. These findings provide useful information to guide pharmacists in community pharmacy when recommending OTC drugs for self-medication by patients with headache.
著者
木内 祐二 増田 豊 亀井 大輔 向後 麻里 中村 明弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.133, no.2, pp.231-241, 2013-02-01 (Released:2013-02-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 4

In Showa University School of pharmacy, 7 competencies for outcome-based education were set up in 2011. We are now creating sequential curriculum in order to achieve these competencies. As a member of team medical treatment, pharmacist must share a patient's information with other members, assess each patient's condition, propose the best medication with evidence, and also check the effect of medication. Therefore, many active practices in a hospital and community and problem-based learning (PBL) tutorials are carried out in curriculum in School of Pharmacy. As a training for the future pharmacists who positively perform primary care with responsibility in community pharmacy, students study the method of clinical assessment (assessment of condition of disease from the patient's complain, and choice of appropriate proposal). Furthermore, the exercise and training of parenteral medication, physical assessment, and first aid, etc. are also taken in the curriculums as new clinical skill. The systematic and gradual interprofessional education curriculum for the team medical education has been carried out aiming at training of active members in medical team in a hospital and community. At this symposium, I will introduce these systematic advanced curriculums for the pharmacist of a new age, and to show the usefulness and learning effect.
著者
渥美 聡孝:筆頭著者 八木 仁史 木内 祐二
出版者
昭和大学薬学雑誌編集委員会
雑誌
昭和大学薬学雑誌 (ISSN:18847854)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.175-183, 2011-12

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、地震後に発生した津波によって東北地方沿岸部に多大な被害をもたらした。昭和大学では、岩手県下閉伊郡山田町に3月15日~4月16日までの計33日間、医療救援隊を派遣し、活動期間内にのべ約3,000人の診療を行った。また、避難所の衛生管理も行うことで被災者の健康管理に寄与することができた。薬剤師は主に医薬品の管理・調剤と往診時の薬の選択(代替薬や新規処方)と患者情報の収集を行い、さらにはバイタルサインの測定など、患者データも自ら収集した。往診時には、医薬品バックを自作し、持ち運ぶ医薬品として必要最小限の薬を選ぶことに最も苦心した。調剤以外に薬剤師の職能を活かす場としては、公衆衛生の管理があり、実際に薬剤師達は感染症を防ぐために手洗い・うがいなどの励行、避難所のトイレ掃除を行った。普段の業務と同様、緊急時にも薬剤師の活動の場は多数あり、チーム医療の中で無くてはならない存在だということを実感した。薬学生が今後、チーム医療の一員として活躍するためにも、教職員は学生に対して他職種とのコミュニケーション能力を重点的に育成し、医療系の知識・技能においては卒後教育を含めて取り組んでいく必要がある。(著者抄録)
著者
向後 麻里 斉藤 有深 柏原 由佳 小市 佳代子 市川 幾重 堀地 直也 今井 俊道 足立 満 村山 純一郎 木内 祐二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.973-981, 2004-12-01
被引用文献数
1 2

日本における肺癌罹患者数は増加傾向にあり, 男性では悪性腫瘍の中で死亡原因の1位となっている. 非小細胞肺癌(non-small-cell lung cancer:NSCLC)は早期診断, 早期切除が原則となってくるが, 進行性肺癌や小細胞肺癌(small-cell lung cancer:SCLC)に対しては外科的切除の適応は少なく, 強力な化学療法や放射線療法が実施されるものの, 5年生存率は1%未満である. 近年, 肺癌の化学療法は, cisplatin(CDDP)と他剤との併用療法が主流でありSCLCではetoposide(VP-16), irinotecan hydrochloride(CPT-11), NSCLCではvinorelbin tartarate(VNR), gemcitabin hydrochloride(GEM)などと併用されている. こうした併用化学療法を安全かつ効率的に実施するためのクリニカル, パス(パス)を用いることは有用と考えられるが, 国内ではいまだ十分には活用されていない. パスとは, 病棟でのチーム医療の「質」と「効率」を同時に保障するために考え出されたマネージメントツールであり, パス導入により, 医療の標準化, チーム医療の推進, 情報の共有などの効果が期待される.