著者
河野 敏鑑 八木 倫秀
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Special_issue, pp.S39-S41, 2018 (Released:2019-04-19)
参考文献数
2

顧客の囲い込みや購買履歴の入手に用いられているポイント制度を統計指標の作成に活用する試みがある.こうした試みにはポイント制度に参加している全ての人の行動を把握した全数調査を元にしているというメリットがある一方,ポイント制度を利用する消費者特有のサンプリングバイアスが存在する可能性は否定できない.そこで,本研究では大学生を対象にアンケート調査を行い,個人がポイント制度を利用するのか否かを決定する要因を分析し,どのようなバイアスがあるのかを明らかにした.その結果,利用頻度が高い人,現在志向が弱い人,出席回数が多い学生の方がよりポイント制度を利用する傾向があることがわかった.つまり,ポイント制度を利用しようとする人は,それなりの計画性や忍耐を持ち合わせている可能性が高いと考えられる.よって,ポイント制度から得たビッグデータを用いる際には,こうしたバイアスに十分に注意する必要があると思われる.