- 著者
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八木 充
- 出版者
- つくば国際大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:13412078)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.59-69, 2006-03-25
知的障害者更生施設の現在的課題の1つは,施設での支援経過を踏まえて地域支援へ移行した際の課題を明確にすることである。福祉施設で蓄積してきたケースカンファレンスは,各専門スタッフ相互の学際的なアプローチであり,個別支援計画を策定する為に有効なものであることを体験事例で示す。筆者は,本学研究紀要第10巻2003年度において,知的障害者更生施設の入所に関する体験事例を示し,ケースカンファレンスは各専門スタッフによる学際的なアプローチであり,それを支える社会福祉士の業務領域や専門性のあり方について一定の提言をした。また,本学研究紀要11巻2004年度では,知的障害者更生施設での高齢化対策の体験事例を示し,高齢化対策を実現するための判断となるデーターはケースカンファレンスが提供したことを示した。今回は不適応行動を示すAさんに対するケースカンファレンスの体験事例を示し,地域移行する際の具体的課題をを検討する。福祉の動向は162通常国会で郵政民営化関連法案が参議院で否決された事により,衆議院が解散となり,既に参議院で継続審議を決めていた障害者自立支援法(案)は廃案となった。しかし,10月31日特別国会衆議院で障害者自立支援法は可決成立した。この制度により我が国の総合的な障害者福祉のあり方が方向付けられるが,筆者が問題にしたいのは,施設支援を単に否定するのではなく,地域移行する際の課題を個別的に検討する援助技術の必要性を指摘したい。利用者への個別的援助計画を策定することにより,地域移行を実現する際の課題が具体的に示されるである。