著者
八木 欽治
出版者
自治医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

Wistar系雄ラットを用いて以下の成績を得た。1.ドーパミン系:ドーパミンD1受容体アンタゴニストを用い、DI受容体は侵害刺激に対するバゾプレシンの分泌増強反応を伝達するが、条件恐怖刺激に対する分泌抑圧反応には関与しないことを発見した。2.不安を誘発する新奇環境刺激がバゾプレシン分泌を抑圧することを発見した。3.ヒスタミン系:ヒスタミンH2受容体に選択的なアンタゴニストを用いた実験を行い、H2受容体は、バゾプレシンの基礎的分泌を持続的に抑制している、新奇刺激に対するバゾプレシン分泌抑制反応を伝達する、新奇刺激に対するオキシトシン分泌増強反応を活動依存性に抑圧する、ことを発見した。4.ノルアドレナリン系:ノルアドレナリン神経を選択的に死滅させる神経毒5-ADMPを用い、ノルアドレナリン作動系は、条件恐怖刺激に対するバゾプレシン分泌とオキシトシンとプロラクチンの分泌増強反応を阻害するが、無条件恐怖刺激と不安誘発性新奇刺激に対する反応を阻害しないことを発見した。5.ベンゾジアゼピン受容体:ノルアドレナリン系の活動を修飾するベンゾジアゼピン・GABA-A受容体を活性化すると、無条件恐怖刺激及び条件恐怖刺激に対するバゾプレシンとオキシトシンの反応は阻害されるが不安誘発性新奇刺激に対する反応は阻害されないことを発見した。6.セロトニン系:5-HT_<1A>受容体は、条件恐怖刺激に対するバゾプレシンとオキシトシンの反応の発現に関与しているが不安誘発性新奇刺激に対する反応には関与していないことを発現した。