著者
髙橋 忠志 尾身 諭 泉 圭之介 菊池 謙一 遠藤 聡 尾花 正義 太田 岳洋 長谷川 士朗 柚木 泰広 北澤 浩美 方波見 裕子 八木 真由美 長井 ノブ子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.271-274, 2019-03-10

はじめに 荏原病院(以下,当院)は東京都の区南部医療圏における中核病院の1つである.リハビリテーション科においては,中枢神経疾患や運動器疾患,廃用症候群,呼吸器疾患などを中心に,急性期から早期リハビリテーション介入を行っている.がん患者に対するリハビリテーションは2015年に所定のがんのリハビリテーション研修を修了し,がん患者リハビリテーション料が算定可能となった. がんのリハビリテーションガイドラインでは,周術期がん患者に対するリハビリテーションは呼吸器合併症の減少・入院期間の短縮のため勧められるとされている1).しかし,当院ではがん患者リハビリテーション料算定可能となった後も,がん患者のリハビリテーション科依頼は少なく,周術期がん患者に対して十分なリハビリテーション介入を行えていなかった. さらに,周術期の呼吸器合併症の予防で有効な手段として口腔機能管理が挙げられる.周術期の口腔機能管理は,口腔ケアによる口腔細菌数の減少,口腔感染源の除去,挿管・抜管時の歯牙保護が主な目的であり,周術期口腔機能管理料を算定できる.2016年度の診療報酬改定において,医科歯科連携の推進として,周術期口腔機能管理後手術加算の引き上げ,栄養サポートチームに歯科医師が参加した場合の歯科医師連携加算が新設され,現在,医科歯科連携がいっそう求められている. 当院では2016年度に外科,歯科口腔外科(以下,歯科),看護部,リハビリテーション科が協働して,がん患者の周術期サポートチームを立ち上げた.このチームをSupport Team of Rehabilitation,Oral care and Nursing care Group for perioperative patientsの頭文字を取り“STRONG”とした. これまで,医科歯科連携として,手術を行う主科と歯科の連携の報告は散見するが,歯科とリハビリテーション科が連携して呼吸器合併症を予防する取り組みは報告が少ない. 今回,当院の外来におけるがん患者周術期サポートチーム“STRONG”の取り組みを紹介する.