著者
兼井 典子 児玉 達哉 張谷 友義
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.311-316, 2017-12-20 (Released:2017-12-27)
参考文献数
5
被引用文献数
1

シャンプーの主成分であるアニオン界面活性剤はカチオン性高分子との相互作用により,シャンプー希釈時のある濃度領域において,コアセルベートと呼ばれる水に不溶の複合体を形成する。コアセルベートは毛髪に付着してコンディショニング効果を付与することが知られており,コアセルベートの性質がシャンプーの使用感に影響を及ぼすことが報告されている。一方,香料はシャンプーに配合されており,香り立ちや残香は重要である。コアセルベートは毛髪に付着することから,香料の香り立ちや残香はコアセルベートの影響を受けるものと考えられる。そこで,本研究では毛髪への香料の付着に及ぼすコアセルベートの影響について検討した。コアセルベート有/無シャンプー水溶液の上澄み液中の香料量を比較した結果,香料はコアセルベート中に取り込まれる傾向にあることが明らかとなった。さらに,コアセルベート有/無のシャンプーを用いて洗髪した毛髪への香料の付着量をガスクロマトグラフィーにより定量した結果,コアセルベート有の方が無よりも香料の付着量は増加することが確認された。これは,コアセルベート形成時に香料が取り込まれて毛髪へ付着するためと考えられる。