著者
内丸 裕佳子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-15, 2006-01-01

本稿で考察対象にするのは付帯状況,継起,原因・理由,並列を表す動詞のテ形節である。これらのテ形節を統語的に考察し,次の2点を主張する。(1)「しか-ない」テスト,「さえ」焦点化テスト,擬似分裂文テストから,付帯状況を表すテ形節はVPで付加構造をとり,継起,原因・理由,並列を表すテ形節はTPで等位構造をとることを主張する。(2)統語構造に対応してテという形態が二分できることを示す。付加構造を形成するテはアスペクトマーカーとして機能し,等位構造を形成するテは接続形式として機能することを主張する。テ形節の統語構造を提示することは,テ形節の形態的制約に説明を与えることにつながる。本稿はテ形節の形態と統語構造との相関を捉えるためのモデル提示である。
著者
大久保 理恵 坂野 永理 内丸 裕佳子
出版者
岡山大学国際センター, 岡山大学教育開発センター, 岡山大学言語教育センター, 岡山大学キャリア開発センター
雑誌
大学教育研究紀要 (ISSN:18815952)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-9, 2012-12

岡山大学の日本語コースでは,各レベルの到達度の目安として,CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の到達レベルを取り入れることを検討課題としている。本稿では,ヨーロッパの高等教育におけるCEFR 導入の背景を述べ,ベルギー,ドイツ,ハンガリーの三大学におけるCEFR導入状況の調査結果を報告する。調査により,各大学によりCEFRの取り入れ方は様々であることがわかった。しかしながら,どの大学においても,CEFR がきっかけとなり,日本語コース,教員,学生に変革が起こり,その変革が授業やカリキュラムの向上につながっていることが明らかになった。
著者
内丸 裕佳子
出版者
岡山大学国際センター, 岡山大学教育開発センター, 岡山大学言語教育センター, 岡山大学キャリア開発センター
雑誌
大学教育研究紀要 (ISSN:18815952)
巻号頁・発行日
no.8, pp.61-72, 2012-12

本稿は,アンケート調査を通じて高等教育機関で学ぶ学習者の中級レベルに対する学習ニーズを明らかにすることを目的とする。アンケート調査結果は4点にまとめられる。(1)教科書の説明および内容:初級に比べ評価が低くなる。母語による解説が望まれている。(2)学習項目:アカデミックな日本語,日常生活での日本語の両方に対するニーズがある。会話学習への要望が最も多く,次いで文法・文型,語彙が同数だった。(3)教え方に対する要望:①既習表現と比較しながら説明する。②文型・表現は共通する意味・用法でまとめて効率的に教える。③文型・語彙の硬さ・柔らかさの区別を示す。(4)教室活動に対する要望:短い会話練習,作文,ゲーム要素を取り入れた練習も増やす。
著者
内丸 裕佳子 諏訪 棟植
出版者
岡山大学全学教育・ 学生支援機構
雑誌
岡山大学全学教育・学生支援機構教育研究紀要 (ISSN:24329665)
巻号頁・発行日
no.5, pp.271-282, 2020-12-30

岡山大学の全学日本語コースは現在,「全学日本語コースWebシステム」という独自のシステムを用いて,学内限定でオンラインによるプレースメントテストを行っている。このシステムの廃止が予定されていること,COVID-19の影響で学内への立ち入り制限が想定されることから,現システムに代わって学外からでも受験できる手段の準備が望まれている。そこで一つの解決策としてMoodleを用いたプレースメントテストの問題作成に取り組んだ。本稿ではMoodleによる聴解テストと文法テストの作成について紹介するとともに,今後の課題を述べる。