著者
山中 浩明 内山 知道
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.469-482, 2008
被引用文献数
1

&emsp;糸魚川─静岡構造線(以下,糸静線)は,わが国で最も活発な断層帯の一つとされ,M8クラスの地震が発生する可能性があり,その周辺地域では強震動予測が行われている。より精度の高い予測には信頼性の高い地下構造の情報が必要となる。本研究では,糸静線近傍に位置する長野県松本盆地内の8地点において,微動のアレイ観測を実施し,レイリー波の位相速度を求めた。さらに,それらの逆解析から表層から地震基盤までの1次元S波速度構造を明らかにした。また,同盆地内の2地点において70日間微動観測を行い,その上下成分に地震波干渉法を適用し2点間のグリーン関数を求め,そのレイリー波の群速度を求めた。さらに,その逆解析から地震基盤までの1次元S波速度構造を明らかにした。この結果は,微動探査による結果とよく一致しており,松本盆地において地震波干渉法の適用が可能であることが分かった。さらに,微動観測記録の水平成分に対しても地震波干渉法への適用も試み,ラブ波の群速度やレイリー波の楕円率も推定することができた。これらの表面波の特徴も微動探査の結果で説明することができた。<br>