著者
今井 邦俊 松田 祥子 小川 晴子 内海 洋
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.103-106, 2019-02-20 (Released:2019-03-20)
参考文献数
11

酸性次亜塩素酸水は,医療や食品分野で手指,器具,食材などの洗浄・殺菌目的,農業分野では特定農薬として使用されている.本研究では,次亜塩素酸水のPEDVに対する消毒効果を調べた.PEDVと酸性(pH3.0〜3.1)またはアルカリ性(pH11.7〜11.9)次亜塩素酸水を1:9の割合で混和し,1分間処理したところ99.9%以上のウイルス不活化率がみられた.特に,酸性次亜塩素酸水は5%豚糞便存在下でも1分間処理で99.9%以上の不活化率を示した.一方,pH2.7の細胞培養液はPEDVを不活化しなかったことから,酸性次亜塩素酸水の効果は溶液の酸性度に依存しないと判断された.次亜塩素酸水は安全性が高く環境負荷も少ないことから,既存の消毒薬に代わり畜産現場の衛生対策に広く使用されることが期待される.