著者
今井 邦俊 松田 祥子 小川 晴子 内海 洋
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.103-106, 2019-02-20 (Released:2019-03-20)
参考文献数
11

酸性次亜塩素酸水は,医療や食品分野で手指,器具,食材などの洗浄・殺菌目的,農業分野では特定農薬として使用されている.本研究では,次亜塩素酸水のPEDVに対する消毒効果を調べた.PEDVと酸性(pH3.0〜3.1)またはアルカリ性(pH11.7〜11.9)次亜塩素酸水を1:9の割合で混和し,1分間処理したところ99.9%以上のウイルス不活化率がみられた.特に,酸性次亜塩素酸水は5%豚糞便存在下でも1分間処理で99.9%以上の不活化率を示した.一方,pH2.7の細胞培養液はPEDVを不活化しなかったことから,酸性次亜塩素酸水の効果は溶液の酸性度に依存しないと判断された.次亜塩素酸水は安全性が高く環境負荷も少ないことから,既存の消毒薬に代わり畜産現場の衛生対策に広く使用されることが期待される.
著者
宇佐美 慧 名越 斉子 肥田野 直 菊池 けい子 服部 由起子 松田 祥子 斉藤 佐和子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.278-294, 2011 (Released:2012-03-27)
参考文献数
27

発達障害・知的障害のある子どもたちに対して適切な支援を行う上で, 社会適応上必要なスキルを安定的かつ多面的に測定する検査の開発が求められている。そこで, 本研究では, 社会適応スキル検査の作成を試みた。まず予備調査では, 項目内容や採点法の適否等に関する検討を行い, また定型発達群(N=959)の標本をもとに各項目の困難度, 内的整合性の検討を行った。その結果を踏まえて, 本調査では, 特別な教育的ニーズのある群(N=560)と定型発達群(N=2,027)の標本をもとに, 各項目の内的整合性の再評価や因子分析モデルに基づく妥当性検証を行った。その結果, 検査の下位スキルとして設定した「言語スキル」, 「日常生活スキル」, 「社会生活スキル」, 「対人関係スキル」において実用上十分な内的整合性が認められ, また一因子性の観点から下位項目の因子的妥当性も確認された。また, 実用上の観点から, パーセンタイルに基づく社会適応スキル指数の算出や, 水平線表示を利用した個人内評価の方法についても検討を行った。最後に, 本検査を適用したADHDの子どもの一事例を通して本検査の臨床的有用性を考察した。
著者
上野 一彦 長澤 泰子 津田 望 松田 祥子 牟田 悦子
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

本研究では、中枢神経系の発達やかたよりから、コミュニケーション能力の遅れ、種々の知的学習能力の習得困難、さらには行動面での不適応症状をもちやすいことなどから、近年注目されている学習障害(LD)児を対象とし、その実態解明と具体的な指導方法探究のために、主として二つの側面からの研究を行なった。1.LDに関する心理学的能力のデータベースの作成と、それにもとづく能力分析による類型判別の試み。5才〜12才のLD及びボーダラインLDに関する200例のWISCーR、ITPA、TKビネーの心理検査結果によるデータベースを作成した。WISCーRを中心とした群得点分析から、全体的能力水準と処理能力の欠陥特性を考慮した3つの典型類型及び3つの重複類型からなる類型モデル図を作成し、その臨床的妥当性についての検証を試みた。同時に、12のWISCーR、10のITPAの各下位検査変量、計22の変数データについての多変量解析を試み、類型判別と診断基準の因子的妥当性についても知見を得た。2.感覚様相の処理特性からくるコミュニケーション行動中の受容能力および表出能力の発達のかたよりにたいする具体的援助の一方法として、同時提示法によるサイン言語法の開発とその適用研究。現在、英国の障害児教育現場で広く普及しているMAKATON法の日本版作成作業を進めた。この方法は、キーワード法によるサインシステムを採用し、話しことばとサインとシンボルの同時提示による言語発達プログラムである。現在、第1から第9ステージにおける約330の核語集の選定、基本的サインの作成作業を終え、類型分類によるLD児の指導グループ適用研究から、顕著な指導効果が認められた。
著者
上野 一彦 長澤 泰子 菊池 けい子 津田 望 松田 祥子 牟田 悦子
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

本研究グループは、中枢神経系の発達の遅れやかたよりから、コミュニケーション能力の発達不全、種々の学習能力の習得困難、協調運動の発達不全、さらには情緒・行動面で不適応症状をもちやすいLD(学習障害)児を研究対象とし、その実態解明と具体的な教育的援助の方法探究のために、主として二つの側面からの研究を行った。第一は、LDの生育歴にみられる障害徴候と問題行動、およびWISCーRによる心理学的能力を下位項目としたデータベースの作成である。6才〜14才のLD及びボーダーラインLD、比較のための軽度精神延滞(MR)、約200名の面接と心理診断を行い、知的能力から精神発達の4つの水準(MR、ボーダーラインLD、低IQ・LD、高IQ・LD)と、情報処理過程によるモデルに立脚した個人内差の特徴から、各LD群の類型化を試み、それらのレベルと特性の二次元空間内での問題症状の発生時期と内容、行動特徴について分析・検討し、治療教育につながる指導プログラムの手がかりを得た。第二は、感覚様相の処理特性からくるコミュニケーション行動中の受容能力および表出能力の発達のかたよりにたいする具体的援助の一方法として、同時提示法によるサイン言語法の開発とその適用研究である。この研究は、英国の障害児教育現場で広く普及しているマカトン(MAKATON)法のサインとシンボルの日本版作成作業に取り組んだ。今年、第1から第9ステージにおける約330の核語彙の選定、基本的サイン作成を完了し、サインに対応するシンボルと言語指導プログラムを作成した。