著者
佐藤 一樹 橋本 孝太郎 内海 純子 出水 明 藤本 肇 森井 正智 長沢 譲 宮下 光令 鈴木 雅夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.116-123, 2015 (Released:2015-04-17)
参考文献数
16
被引用文献数
3

【目的】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の在宅診療中止の関連要因を明らかにする.【方法】年間看取り数20名以上の在宅療養支援診療所6施設から在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者352名の診療録調査を行い,自宅死亡/在宅診療中止の関連要因を分析した.【結果】自宅死亡が289名(82%),在宅診療中止が63名(18%)であった.多変量解析の結果,患者や家族の看取り場所の希望が自宅以外(オッズ比〈OR〉=10[95%信頼区間2.5~41],52[12~227]),不明・明確な希望なし(OR=5.0[1.3~19],11[2.3~51]),家族に不安・抑うつがある(OR=4.1[1.2~14]),主介護者の介護頻度が少ない(OR=6.8[2.0~23]),在宅診療中の入院歴あり(OR=12[4.0~34])が,在宅診療中止に関連した.【結論】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の在宅診療中止の関連要因が明らかとなった.
著者
橋本 孝太郎 佐藤 一樹 内海 純子 出水 明 藤本 肇 森井 正智 佐々木 琴美 宮下 光令 鈴木 雅夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.153-161, 2015 (Released:2015-03-05)
参考文献数
14
被引用文献数
4 6

【目的】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の現状と診療実態を調査すること.【方法】在宅緩和ケアを専門的に提供する6診療所(在宅特化型診療所)から在宅診療を受け,2012年1~6月に死亡または診療中止したがん患者352名を対象として,診療録調査を実施した.【結果】対がん治療終了後に在宅診療を開始した290名の有効回答が得られた.男性165名(57%),年齢は平均72±13歳.訪問看護を238名(98%),訪問介護を95名(39%)が利用し,死亡または診療中止前1カ月間に,輸液療法を72名(30%),強オピオイド鎮痛薬投与を127名(52%)の患者が受けていた.転帰は自宅死亡242名(83%),在宅診療中止48名(17%)であり,中止の理由は,患者の身体的問題と並んで,家族の精神的・身体的な問題が多かった.【結論】在宅特化型診療所における在宅緩和ケアの現状と診療実態が明らかとなった.