著者
角甲 純 關本 翌子 小川 朝生 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.147-152, 2015 (Released:2015-03-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】呼吸困難に対する扇風機を用いて顔へ送風する支援は臨床ではよく行われているが,終末期がん患者に対する科学的なエビデンスは明らかではない.本研究では,終末期がん患者の呼吸困難に対する支援の有効性を後方視的に検討した.【方法】2013年7月~2014年1月に,当院の緩和ケア病棟に入院している終末期がん患者のうち,呼吸困難に対して扇風機を用いた支援を受けた9名の患者を分析の対象とした.効果の評価には,支援の実施前後で収集されていた呼吸困難VAS値の変化を用いた.【結果】扇風機を用いた支援実施前の呼吸困難VAS値は40.2±11.8,実施後VAS値は15.6±14.9で,実施前後で有意に減少していた(P=0.004).【考察】扇風機を用いた支援は,終末期がん患者の呼吸困難に対して効果がある可能性がある.今後は,介入研究を行い,前向きに有効性を検証していく必要がある.
著者
佐藤 悠子 藤森 研司 石川 光一 佐藤 一樹 石岡 千加史 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.156-165, 2016 (Released:2016-06-13)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

【目的】保険診療情報が格納されたナショナルデータベース(National Data Base,以下NDB)を用いた,終末期がん医療の質の評価の実現可能性と限界を検討した.【方法】NDBのサンプリングデータセット(Sampling Data Set,以下SDS)を用いて,2012年10月の死亡がん患者を対象に死亡14日以内の心肺蘇生術と化学療法の実施率を算出した.【結果】対象者1,233例を解析した.心肺蘇生術と化学療法の実施率は,入院死亡症例(n=1079)で8.2%,3.5%であった.SDSの仕様では,解析対象の化学療法薬剤の27-70%が匿名化されていた.【考察】SDSでは匿名化処理や入院と外来レセプトが紐付けされない等の問題から,過小評価の可能性があり結果の解釈に注意を要する.しかしながら,NDBの特別抽出であればこれらの問題の一部は解決でき,同様の手法で質の評価は可能と考えられた.
著者
三輪 聖 森田 達也 松本 禎久 上原 優子 加藤 雅志 小杉 寿文 曽根 美雪 中村 直樹 水嶋 章郎 宮下 光令 山口 拓洋 里見 絵理子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.281-287, 2021 (Released:2021-10-26)
参考文献数
18

【目的】緩和ケア医が苦痛の評価を行う上で知っておくことが必要と考える方言を収集する.【方法】2020年2月から4月に緩和医療専門医・認定医762名を対象とした全国質問紙調査を実施した.緩和ケア医が苦痛の評価を行う上で知っておくことが必要と考える方言とその意味を自由記述で質問し,症状別に分類した.【結果】有効回答492名(64.8%).233名(47.4%)が方言として116語を挙げ,苦痛を表現する方言は101語であった.「倦怠感・特定できない苦痛・全体的な調子の悪さ」(N=62),「疼痛」(N=13),「呼吸器・循環器症状」,「精神症状」(各N=8),「消化器症状」,「神経・筋・皮膚症状」(各N=5)であった.【結語】緩和ケア医が苦痛の評価を行う上で知っておくことが必要と考える方言とその意味が明らかになった.苦痛の適切な評価のために,苦痛を表す様々な方言があることを理解することが必要である.
著者
新城 拓也 森田 達也 平井 啓 宮下 光令 佐藤 一樹 恒藤 暁 志真 泰夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.162-170, 2010 (Released:2010-12-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

本研究は, 主治医が終末期がん患者の死亡確認を行うことや臨終に立ち会うことが, 家族のつらさと医師の対応への改善の必要性に影響するかを明らかにすることである. 2007年, 95のホスピス・緩和ケア病棟の遺族670名を対象に質問紙調査を行った. 全体の73%の遺族が回答した. どの医師が死亡確認を行うか, 医師が臨終に立ち会ったかは家族のつらさとは関連がなかった. 一方, 死亡確認と立ち会いは, 医師の対応への改善の必要性とは有意な関連があった. しかし, 医師が「臨終に立ち会ったこと」と, 「立ち会えなかったが, その日は頻繁に部屋に来ていた」ことの間には, 医師の対応への改善の必要度に有意差はなかった. したがって, 家族は主治医の死亡確認や, 臨終の立ち会いを望んでいるが, もし死亡確認や立ち会いができなかったとしても, 心理的なつらさが強まることはなく, 臨終までに頻繁に部屋に行くことで十分な対応であると考えていることが示唆された. Palliat Care Res 2010; 5(2): 162-170
著者
古村 和恵 宮下 光令 木澤 義之 川越 正平 秋月 伸哉 山岸 暁美 的場 元弘 鈴木 聡 木下 寛也 白髭 豊 森田 達也 江口 研二
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.237-245, 2011 (Released:2011-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

より良い緩和ケアを提供するために, がん患者やその家族の意見を収集することは重要である. 本研究の目的は, 「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」(OPTIM)の介入前に行われた, 進行がん患者と遺族を対象とした質問紙調査で得られた自由記述欄の内容を分析し, がん治療と緩和ケアに対する要望と良かった点を収集・分類することである. 全国4地域の進行がん患者1,493名, 遺族1,658名に調査票を送付し, 回収した調査票のうち, 自由記述欄に回答のあったがん患者271名, 遺族550名を対象とした. 本研究の結果から, がん患者と遺族は, 患者・医療者間のコミュニケーションの充実, 苦痛緩和の質の向上, 療養に関わる経済的負担の軽減, 緩和ケアに関する啓発活動の増加, 病院内外の連携システムの改善, などの要望を持っていることが明らかとなった. Palliat Care Res 2011; 6(2): 237-245
著者
佐藤 一樹 橋本 孝太郎 内海 純子 出水 明 藤本 肇 森井 正智 長沢 譲 宮下 光令 鈴木 雅夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.116-123, 2015 (Released:2015-04-17)
参考文献数
16
被引用文献数
2

【目的】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の在宅診療中止の関連要因を明らかにする.【方法】年間看取り数20名以上の在宅療養支援診療所6施設から在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者352名の診療録調査を行い,自宅死亡/在宅診療中止の関連要因を分析した.【結果】自宅死亡が289名(82%),在宅診療中止が63名(18%)であった.多変量解析の結果,患者や家族の看取り場所の希望が自宅以外(オッズ比〈OR〉=10[95%信頼区間2.5~41],52[12~227]),不明・明確な希望なし(OR=5.0[1.3~19],11[2.3~51]),家族に不安・抑うつがある(OR=4.1[1.2~14]),主介護者の介護頻度が少ない(OR=6.8[2.0~23]),在宅診療中の入院歴あり(OR=12[4.0~34])が,在宅診療中止に関連した.【結論】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の在宅診療中止の関連要因が明らかとなった.
著者
市原 香織 宮下 光令 福田 かおり 茅根 義和 清原 恵美 森田 達也 田村 恵子 葉山 有香 大石 ふみ子
出版者
Japanese Society for Palliative Medicine
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.149-162, 2012

【目的】Liverpool Care Pathway (LCP)は, 看取りのクリニカルパスである. LCP日本語版のパイロットスタディを実施し, LCPを看取りのケアに用いる意義と導入可能性を検討する. 【方法】緩和ケア病棟入院患者を対象にLCPを使用し, ケアの目標達成状況を評価した. 対象施設の看護師に, LCPの有用性に関する質問紙調査を行った. 【結果】LCPに示されたケアの目標は, 80%以上の患者・家族において達成されていた. 対象看護師の65%以上が, 看取りの時期の確認, ケアの見直し, 継続的で一貫したケアの促進, 看護師の教育においてLCPを有用だと評価した. 【結論】LCPは緩和ケア病棟での看取りのケアと合致し, 看取りのケアの指標を示したクリニカルパスとして導入可能であることが示された. 看護師の評価では, LCPが看取りのケアの充実や教育における意義をもつことが示唆された.
著者
森田 達也 野末 よし子 宮下 光令 小野 宏志 藤島 百合子 白髭 豊 川越 正平
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.317-322, 2012 (Released:2012-04-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は, 在宅特化型診療所とドクターネットの両方が存在する1都市におけるがん患者の自宅死亡率の推移を明らかにすることを通じて, 在宅特化型診療所とドクターネットの地域緩和ケアにおける役割についての洞察を得ることである. 緩和ケアの地域介入研究が行われた1地域でがん患者の自宅死亡率を2007年から2010年まで取得した. 自宅死亡率は, 2007年の7.0%から2010年には13.0%に増加した. 自宅死亡総数に占める在宅特化型診療所の患者の割合は49%から70%に増加したが, 在宅特化型診療所以外の診療所が診療したがん患者の自宅死亡数も63名から77名と減少しなかった. 在宅特化型診療所と一般の診療所のドクターネットは排他的に機能するものではなく, 両方のシステムが地域に存在することにより自宅で過ごすがん患者の緩和ケアの向上に寄与する可能性が示唆された.
著者
名古屋 祐子 宮下 光令 入江 亘 余谷 暢之 塩飽 仁
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.53-64, 2020 (Released:2020-04-07)
参考文献数
38

【目的】看護師による代理評価を用いて終末期にある小児がん患者のQuality of Life(QOL)とその関連要因を検証する.【方法】2015年10月〜2016年2月に国内の小児がん治療施設に勤務し,終末期にある小児がん患者を担当した看護師を対象とし,看護師によるQOL代理評価尺度(Good Death Inventory for Pediatrics: GDI-P)22項目とその関連要因を調査した.【結果】18施設から患者53名分の代理評価を得た.GDI-P8下位尺度のうち「からだや心の苦痛が緩和されていること」が最も平均が低かった.GDI-Pの総得点は,ケアの構造・プロセスの評価と正の相関がみられ(r=0.58),死亡場所は症例数に偏りがあったが集中治療室の場合は自宅や病棟より得点が低かった.【結論】苦痛緩和が最優先課題であるとともに,ケアの構造・プロセスの評価がQOLと関連している可能性が示唆された.
著者
渡邉 梨紗 落合 亮太 徳永 友里 三條 真紀子 眞茅 みゆき 宮下 光令 石川 利之 渡部 節子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.265-276, 2020 (Released:2020-10-08)
参考文献数
25

【目的】慢性心不全患者とその家族と多職種チームが行うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する看護師の認識を明らかにする.【方法】質問紙を用いて全国の植え込み型除細動器/心臓再同期療法認定施設の看護師427名に,模擬症例とその家族と行うACP13項目の必要性を尋ねた.【結果】有効回答207名中,「機能予後・生命予後を伝える」を患者と「行うべき」と回答した者は51%で,全13項目中最少だった.患者・家族の比較では予後告知などに関する8項目で家族と行うべきとの回答が有意に多かった.認定看護師は,患者とは「これまでの人生で大切にしてきたものについて尋ねる」,家族とは「これからどんな人生を患者に歩んでほしいのかを家族に尋ねる」などで,その他の看護師より行うべきとの回答が有意に多かった.【結論】看護師はACPのなかでも患者への予後告知に慎重であること,認定看護師は患者や家族のその人らしさを重視する傾向にあることが示された.
著者
岩淵 正博 佐藤 一樹 宮下 光令 森田 達也 木下 寛也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.189-200, 2016 (Released:2016-06-29)
参考文献数
47
被引用文献数
1 4

【目的】1)終末期医療に関する意思決定者の関連要因を探索すること,2)意思決定者の違いによる受ける医療やQOLへの影響を明らかにすること.【方法】がん・心疾患・脳血管疾患・肺炎で死亡した患者の遺族(N=409)を対象にインターネット調査を実施.終末期医療の主体的な意思決定者を「患者」「家族」「医師」「患者・家族・医師共同」の4件法で尋ねた.【結果】患者と比較して,意思決定者が家族であることには,患者と家族での終末期に関する話し合い(オッズ比〈OR〉=0.52),医師から患者への病状説明(OR=0.77),認知機能低下(OR=1.94)が関連し,医師であることには,医師から患者への病状説明(OR=0.62)が関連した.意思決定者の違いは遺族による患者QOL評価に影響し,医師が意思決定者の場合に有意に低かった(p=0.014).【結論】終末期医療に関する意思決定者の関連要因と影響が明らかとなった.
著者
鈴木 梢 森田 達也 田中 桂子 鄭 陽 東 有佳里 五十嵐 尚子 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.731-737, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
11
被引用文献数
3

本調査は広い概念での補完代替医療(complementary and alternative medicine: CAM)の使用実態や家族の体験を知り,がん患者とのコミュニケーションに活かすことを目的とし,緩和ケア病棟の遺族への自記式質問用紙調査(J-HOPE2016)の一部として実施された.調査の結果,がん患者の54%がCAMを使用し,内容はサプリメントのほか,運動やマッサージなど多岐に渡っていた.多くはがん治療や経済面に影響のない範囲でCAMを用いていたが,一部でがん治療や経済面への影響も懸念され,医療者からCAMについて話題にする姿勢が重要と考えられた.また,CAM使用との関連要因として若年患者,遺族が高学歴であることが抽出され,さらに,CAMの使用は家族の心理面に影響を及ぼしている可能性が示唆された.CAM使用歴のある患者家族の心理面・精神面にも注意を向ける必要がある.今後,CAMの内容別,緩和ケア病棟以外で死亡した患者についても調査を進めることが求められる.
著者
伊藤 怜子 清水 恵 佐藤 一樹 加藤 雅志 藤澤 大介 内藤 明美 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-146, 2020

<p>厚生労働省の受療行動調査におけるQuality of life (QOL)を評価する項目について,全国から無作為抽出した20〜79歳の一般市民2400名に対して郵送法による自記式質問紙調査を実施することにより,その国民標準値を作成することを目的とした.さらに,SF-8<sup>TM</sup>, Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9), Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status(ECOG-PS), Memorial Symptom Assessment Scale(MSAS)などとの関連も検討した.分析対象は978部(41.1%)で,性年齢階級別人口統計によって重み付けした40歳以上のQOL指標の標準値は,「体の苦痛がある」33%,「痛みがある」33%,「気持ちがつらい」23%,「歩くのが大変」15%,「介助が必要」3%であった.本研究結果は,今後,受療行動調査を用いて全国的かつ継続的に患者の療養生活の質を評価し解釈していくにあたり,重要な基礎データとなる.</p>
著者
的場 康徳 村田 久行 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.45-54, 2021 (Released:2021-02-16)
参考文献数
27

【目的】スピリチュアルケア(SPC)の実践力の習得を目的とした研修の医師での効果を測る.【方法】自記式質問法により,教育介入前,直後,3カ月後,6カ月後に測定.【結果】医師30名が研修を修了.すべての主要評価項目が有意に改善し,その効果は介入6カ月間持続(すべてP=0.0001).スピリチュアルペイン(SPP)を訴える患者とのコミュニケーションの自信が高まり(6カ月後の効果量(Effect Size=1.3),SPCの実践の自己評価が高まり(ES=1.2),SPPを訴えられたときの無力感が軽減し(ES=0.8),SPCの経験を肯定的に捉えるようになり(ES=0.8),SPPを訴える患者にすすんで関わりたいと思うようになった(ES=0.4).96〜100%の医師が,SPCの概念理解と実際にSPCの方法を知ることについて本研修が「とても役に立った」または「役に立った」と評価した.
著者
橋本 孝太郎 佐藤 一樹 内海 純子 出水 明 藤本 肇 森井 正智 佐々木 琴美 宮下 光令 鈴木 雅夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.153-161, 2015 (Released:2015-03-05)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

【目的】在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者の現状と診療実態を調査すること.【方法】在宅緩和ケアを専門的に提供する6診療所(在宅特化型診療所)から在宅診療を受け,2012年1~6月に死亡または診療中止したがん患者352名を対象として,診療録調査を実施した.【結果】対がん治療終了後に在宅診療を開始した290名の有効回答が得られた.男性165名(57%),年齢は平均72±13歳.訪問看護を238名(98%),訪問介護を95名(39%)が利用し,死亡または診療中止前1カ月間に,輸液療法を72名(30%),強オピオイド鎮痛薬投与を127名(52%)の患者が受けていた.転帰は自宅死亡242名(83%),在宅診療中止48名(17%)であり,中止の理由は,患者の身体的問題と並んで,家族の精神的・身体的な問題が多かった.【結論】在宅特化型診療所における在宅緩和ケアの現状と診療実態が明らかとなった.
著者
中里 和弘 塩崎 麻里子 平井 啓 森田 達也 多田羅 竜平 市原 香織 佐藤 眞一 清水 恵 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.263-271, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

【目的】1)緩和ケア病棟における患者と家族間の思いの言語化を支える家族支援(家族へのバーバルコミュニケーション支援)の有無と評価,2)家族へのバーバルコミュニケーション支援と「患者と家族との良好な関係性」および「ケアの全般的満足度」との関連を検討した.【方法】全国の緩和ケア病棟103施設における死亡患者の遺族968名に質問紙調査を実施した.【結果】536名を分析対象とした.支援を受けた遺族の割合は内容によって差がみられたが,評価は概ね高かった.重回帰分析の結果,患者と家族との良好な関係性では,全8つの支援で有意な正の関連が認められた.ケアの全般的満足度では,4つの支援(家族から患者への言語化の具体的提案,家族の思いを患者に伝える,患者の聴覚機能保持の保証,患者の思いを推察した家族への言葉かけ)で有意な正の関連が認められた(p<0.05).【結論】家族へのバーバルコミュニケーション支援の意義が示唆された.
著者
米永 裕紀 青山 真帆 森谷 優香 五十嵐 尚子 升川 研人 森田 達也 木澤 義之 恒藤 暁 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.235-243, 2018 (Released:2018-08-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

緩和ケアの質や遺族の悲嘆や抑うつの程度に地域差があるかを目的とし,2014年と2016年に実施された全国遺族調査のデータの二次解析を行った.ケアの構造・プロセスはCare Evaluation Scale(CES),ケアのアウトカムはGood Death Inventory(GDI),悲嘆はBrief Grief Questionnaire(BGQ),うつはPatient Health Questionnaire 9(PHQ-9)で評価した.関東をリファレンスとし対象者背景で調整し,比較した.CESとGDIは調整後も九州・沖縄で有意に高かった(p<0.05).BGQは調整後も中部,近畿,中国,九州・沖縄地方で有意に低かった(p<0.05).PHQ-9は調整後,有意差はなかった.いずれのアウトカムも効果量は小さく地域差がほぼないと考えられ,ケアの提供体制は地域で大きく変わらないことが示された.
著者
木下 里美 宮下 光令 佐藤 一樹
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-128, 2018 (Released:2018-03-29)
参考文献数
34
被引用文献数
1

米国のIntensive Care Unit版Quality of Dying and Death(ICU-QODD)医療者版の終末期における患者の体験に関する評価15項目から,ICU-QODD看護師評価用の日本語版を作成し,総合評価として使用可能かを検討した.尺度の因子妥当性と内的一貫性の確認のための調査は1372名,再調査信頼性の確認のための調査は39名のICU看護師から回答を得た.探索的因子分析の結果,6項目2ドメインとして確定し,「身体症状」,「尊厳」と命名した.Cronbachʼs α係数は,「身体症状」が0.89,「尊厳」が0.75であった.級内相関係数は,「身体症状」が0.62,「尊厳」が0.72であった.因子妥当性,内的一貫性,再調査信頼性のある尺度であることが確認できた.15項目のうち6項目が総合評価として使用可能であることが示唆された.
著者
伊藤 怜子 清水 恵 内藤 明美 佐藤 一樹 藤澤 大介 恒藤 暁 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.761-770, 2017 (Released:2017-12-05)
参考文献数
19

質の高い緩和ケアを普及するための対策を検討するにあたり,症状緩和の具体的な目標値を設定するためには,一般市民の自覚症状の実態を把握する必要がある.しかし,これまでに本邦の一般市民における自覚症状の実態を調査した大規模な研究はない.そこで,全国から無作為に抽出した20〜79歳までの一般市民2400人を対象に,郵送による自記式質問紙調査を実施し,Memorial Symptom Assessment Scale(MSAS)を用いて身体,精神症状を多面的に調査した.分析対象は978部(41.1%)で,有症率,症状の強度,苦痛度を性別・年齢階級別に示し,症状の強度とSF-8™による健康関連quality of life(QOL)スコアとの関連を検討した.痛みが46.1%と最も有症率が高く,身体的QOLスコアと相関がみられた(ρ=−0.55).本研究結果は,本邦の一般市民における自覚症状の実態を示した有用な基礎データとなるであろう.
著者
塩﨑 麻里子 三條 真紀子 吉田 沙蘭 平井 啓 宮下 光令 森田 達也 恒藤 暁 志真 泰夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.753-760, 2017 (Released:2017-11-28)
参考文献数
28

【目的】本研究の目的は,がん患者の家族が,終末期における治療中止の何に,どのような理由で後悔をしているか記述的に明らかにすることである.【方法】がん患者の遺族37名を対象に,意思決定当時と現在の2時点にかけての心理的プロセスに関する半構造化面接を行った.結果は,内容分析によって整理した.【結果】約40%の遺族に何らかの後悔についての発話がみられた.後悔の内容は,8カテゴリーに分類され,決定当時の4カテゴリーから,現在は7カテゴリーに多様化した.後悔に関連する理由は43カテゴリーに分類された.後悔がない理由は,患者や家族の要因や医療者との関係といった当時の状況に関するものが多かった.後悔がある理由は,意思決定のプロセスや選択肢,心理的対処といった意思決定の仕方と医療者との関係が多かった.【結論】後悔の性質と機能的な心理的対処の関連を理解することで,遺族の後悔制御方略を提案できる可能性が示唆された.