著者
山口 由衣 内田 敏久 大鈴 博之 池澤 善郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.34-37, 2004

30歳女性.平成14年9月19日,発作性上室性頻拍に対する電気生理学的検査,カテーテルアブレーションを施行開始30分後より,呼吸困難,全身に〓痒を伴う皮疹が出現した。収縮期血圧62mm Hgとなりアナフィラキシーショックと診断され,加療により1時同程度で全身状態は回復した。術中使用した局所麻酔薬や抗生物質の薬剤アレルギーを疑い皮膚テスト・再投与を施行したが症状は誘発されず否定的であった.次いでラテックスアレルギ一を疑った.スキンプリックテストで強陽性,ラテックスのCAP-RASTは10.8 UA/ml を示し,結果として術者手袋に含まれるラテックスが原因のアナフィラキシーショックであることが示唆された.近年,ラテックスアレルギーについて少しずつ認識が高まり,麻酔科医による詳細な術前問診などの対応がみられている.しかし,自験例のように手術室で行われないような処置において対策のとられていないことが多い.また,原因不明のアナフィラキシーで薬剤アレルギーが疑われている症例において,ラテックスアレルギーの可能性があり注意が必要である.