- 著者
-
内田 照雄
- 出版者
- 摂南大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1998
本研究は、測定時間の大幅な短縮をはかりかつ分光強度パターンと蛍光寿命パターンを同時測定するため,光源の二重振幅変調と高速撮像素子としてのイメージインテンシファイヤーの利得変調方式を併用した検出器内部ヘテロダイン検出法を考案し,その理論的解析を行なった。さらに,装置の試作を行い、装置の動作確認を行なった。まず、イ)高速撮像素子としてのイメージインテンシファイヤー、ロ)レーザ、ハ)2台のAO変調器、ニ)3種類の変調用正弦波発信器,ホ)タイミング回路、ヘ)I.I.の蛍光面画像撮像用CCDカメラ、ト)パソコンからなる装置の試作を行った。レーザとしては小型空冷アルゴンイオンレーザを用い、2個の直列に配置したAO変調器を二重に正弦波変調を行い、蛍光試料を変調励起する。この変調信号とわずかに異なる変調信号でイメージインテンシファイヤーの利得変調を行った。2個のAO変調器(No.0とNo.1)のうちNo.1のAO変調器はNo.0のAO変調器(変調周波数 f_0=20.0000MHz)とイメージインテンシファイヤーの利得変調周波数(f_2=19.9990MHz)の差の周波数(f_1=1kHz)の正弦波で変調される。たとえ,f_0,f_2の周波数が時間的に若干変動してもf_1は常にf_0とf_2の差となるように,ミキサー回路を用いた。この結果CCDからは,No.1のAO変調器による変調をOFFにすることにより,通常のDC蛍光像が得られる。また,No.1のAO変調器による変調がONの状態におけるCCDの蛍光像から,OFF時の蛍光像信号を差し引くことにより,蛍光寿命情報すなわち蛍光寿命パターンが一括して得られる。アクリジンオレンジ等標準蛍光試料測定により,nsオーダの蛍光寿命が計測可能であることが分かった。蛍光像信号のSN比向上が今後の課題である。