著者
内藤 和子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.14-20, 1991

夫の分娩参加が夫婦にもたらす情緒的経験の意味について, その実態を探るために25組の夫婦に対し, 分娩前・後および1か月後に主として半統制型の面接を行い, 以下の結果を得た.1.夫の分娩立ち会いのおもな動機は,「分娩経験の共有」,「誕生の瞬間の共有」であり, 妻の理由は,「安心」,「誕生の瞬間の共有」であった.妻主導の分娩立ち会いが多かった.<BR>2.分娩立ち会いの予想と結果については, 夫・妻ともに予想と結果が一致するか, 予想以上の結果が多かった.施設の助産婦・スタッフのサポートが結果に影響する要因と考える.,<BR>3.分娩立ち会いの評価では, 夫の大部分と妻の全員が満足した.妻のself-esteem (自尊感情) を分娩前後で比較すると, 分娩後に有意な上昇が認められた.<BR>4.夫婦のintimacy (親密性) が分娩後に増加した夫と妻は, 1か月後も続いている傾向があった.